トーストと目玉焼きと、コーヒー２ (ページ10)

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待ちに待った金曜日。

「今日は夜いらないわ」

「はいよー」

今日のごはん担当は流星。

「俺も」

「えっ、濵ちゃんまで」

「珍しい」

濵田さんはどんなに遅くなっても家でごはんを食べる人なのに。

「もしかしてこれ？」

小指を立てた流星に濵田さんが苦笑いする。

「ちゃうちゃう。ほな行ってきます」

しかし、理由は教えてくれないまま家を出て行った。私と流星は顔を見合わす。

「なんか変な感じだね」

「そのうち全員恋人できるんちゃうか」

「やだあ」

私は笑って流星の肩を押した。でも、あり得ない話ではない。もしそうなったらこの家はどうなるんだろう。

「私、ずっとこの家にいたいけどな…」

「へ？」

「何でもない。私も行ってきます」

玄関で首を傾ける流星に手を振って、私も家を出た。まだ朝なのに定時が待ち遠しい。

ーー重岡:おはよう。今日は楽しみにしてるで。

届いたラインを見て、口元がにやにやと緩んでしまう。私もめちゃくちゃ楽しみだよ、重岡さん。

予定通り定時までに仕事を片付けた(少し残したまま)私は、会社前の自動販売機で重岡さんを待っていた。

待ち合わせの時間になっても重岡さんは来ない。仕事が長引いているのだろうか。

いつだか玄関でルアーを触っていた自分を思い出してしまい、鼻の奥がつんと痛んだ。