トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ20)

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今日のごはん当番は濵田さんだからお店にはいないはず。

そう思って扉を開けると、「いらっしゃいませ〜」と爽やかな声が聞こえてきた。

「あ！Aさん！」

派手な柄シャツに黒いエプロンを付けてにこっと笑うのは神ちゃん。

「今日は濵田さんいないんです」

「そうなんですね」

私は前と同じカウンター席に座った。今日は小瀧くんいないのかな。

「のんちゃんですか？」

「えっ」

素っ頓狂な声が出て、神ちゃんはふふふと笑った。

「今おつかいに行ってるのでもう少ししたら帰ってきますよ」

「いや、そんな…」

「のんちゃんもAさんが来るの待ってたみたいなんで喜ぶと思います」

そう言って神ちゃんはお水を置いてくれた。赤くなる顔を隠すようにメニューに集中する。

今日は何にしよう。

するとまた扉の開く音がして、私はすぐにそちらを向いた。

「よう」

「えっ？」

「おー、久しぶりやん」

小瀧くんではなく同居人が現れた。こちらへ歩いてきて私の横へ座る。

「この子は流星。濵田さんの従兄弟で、僕の大学の同期です」

「お姉さんよろしくね」

にこっと笑う流星。前者の情報は知っていたが、後者の情報は初耳だ。

とりあえず初対面として過ごせばいいのかな。