トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ18)

今日:6 hit、昨日:23 hit、合計:50,316 hit

18. ページ18

小瀧くんとのやり取りは非常にテンポが良い。やり取りをする中でいくつかわかったことがあった。

小瀧くんは大学院生で今年２３歳になること。あだ名は望かのんちゃんだということ。中高はサッカー部だったけど、大学でテニスサークルに入ったこと。そこで彼女が出来たがしばらくして別れたので幽霊部員になったこと。

一度しか会ったことがないのに恋愛の話題もオープンな彼に少し驚いたが、同時に羨ましくもあった。

今日は「電話しません？」と持ちかけられ、急いで寝るまでの準備を済ませた。

約束の時間になると「大丈夫？」と首を傾げるパンダのスタンプが送られてくる。こんな可愛いスタンプ、絶対彼女用に買ったやつだ、とか考えてしまう自分が悲しい。

「大丈夫です」と返事をすると、すぐに電話がかかってきた。

「もしもし」

機械を通して聞こえた声は、以前聞いた声よりも低く落ち着いていた。

「もしもし」

「もしもーし？」

「いや聞こえてるでしょ」

「ふふふ。バレました？」

甘い声が鼓膜を揺らすから耳がくすぐったい。

「あれっきり店来てくれないすね」

「逆にあの日しか行ったことないんです」

「え、そうなんすか。普通に濵田さんと仲良さそうやったんで常連さんかと思ってました」

「濵田さんは元々知り合いなので」

きっと濵田さんは私とシェアハウスしていることを話していない。表情でバレることのない、電話で良かったなあなんて思った。