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「それ、どういう…」
「さ、遊びに来たんやから遊ばなあかんな」
俺の問いを遮るように、流星はベッドから降りて背伸びをした。
「シゲ、キャッチボールしようや」
「はあ?」
流星は俺を近くの芝生に連れて行った。ポケットからプラスチックのカラーボールを出す。
「いくぞー」
流星が右手を振りかぶる。
今日の流星は特段マイペースや。何考えてるんかさっぱりわからん。いや、いつも分からんけど。
近づいてくるボールを俺は反射的に両手で受け止める。返したらいいんか。
俺は右手でボールを投げた。受け止めた流星がまたボールをよこす。
無言で続くこのやりとりは、意外と苦ではなかった。
「あっ」
流星が下に向けてボールを投げた。しかも速いやつ。
ボールが来る方向にしゃがんで手を伸ばそうとした。そのつもりだった。
コン。
ボールは俺の手の中には収まらなかった。
俺の右脚がボールを弾いて、弧を描くように流星の頭を超えた。
「…」
流星はボールを追いかけることもせず、俺の足元を見つめていた。
蹴ってもうた。
胸に広がる、この高揚感は。
「あ、ごめん」
「ううん」
流星は首を横に振って、俺に駆け寄った。
「流星、俺」
「うん」
「サッカー、やりたい」
「うん」
流星は笑顔で頷いた。
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Hana(プロフ) - ころさん» コメントありがとうございました。前作に引き続き読んでくださっているようで嬉しいです。また次作の更新を楽しみにしていてください。 (2021年8月23日 20時) (レス) id: a0a6b60e39 (このIDを非表示/違反報告)
Hana(プロフ) - #TODAYさん» コメントありがとうございました。楽しんでいただけたようで何よりです。 (2021年8月23日 20時) (レス) id: a0a6b60e39 (このIDを非表示/違反報告)
ころ(プロフ) - 完結おめでとうございす。心あったまるような愛くるしい作品をありがとうございます。とても大好きな作品です!番外編や次作がありましたら、楽しみにしてます。陰ながら応援させていただきます。 (2021年8月19日 9時) (レス) id: 6fc41468f4 (このIDを非表示/違反報告)
#TODAY(プロフ) - とても好きな作品でした。完結まで書いて下さりありがとうございました。番外編がありましたら、そちらも楽しみにしております…! (2021年8月18日 23時) (レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Hana | 作成日時:2021年6月11日 22時