魔法使いと夏休み ２

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「淳太、本貸してやあ」


「たかちゃんが本読むなんて珍しい」


「せやで。淳太に出会ってから本読んでみたいなって思うようになってん」


たかちゃんの言葉はいつもまっすぐだ。まっすぐ僕の胸に刺さって、またたかちゃんを好きになる。


「淳太は魔法使いや。淳太の言葉は心を動かすで。俺がその証人」


へへっと笑うたかちゃんに抱きつけたら、好きやって一言言えたら… 僕はたくさんの思いを飲み込んで頷いたっけ。


「たかちゃん、これとか好きそう」


「精霊の守り人？なんか聞いたことある」


「ドラマ化もされてる。ファンタジーとか好き？」


「うん、好き」


僕に対しての「好き」じゃないことは分かっていても、ドキドキして僕の顔が紅潮してもうたことはたかちゃん知ってるんやろか。


その本を貸してあげると、翌日「こんな女の人おったら惚れてまうなあ！」って感想言われてんな。


恋仲にはなられへんけど、出来ることならずっとこの関係を続けたい。そう願ってた。


せやけど、真面目で働き者のたかちゃんは身体壊してもうてん。


家にお見舞い行くことになって、僕は色んな意味でドキドキしてたんやけど会ってびっくりした。


「悪いけど帰って」


くすんだ顔色と尋常じゃない量の煙草の吸い殻が僕の知ってるたかちゃんには程遠く、悪魔に取り憑かれてるみたいやった。

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