魔法使いと夏休み ２

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「悪いな、仕事終わり疲れてるのに」


「んーん。俺、運転好きやから」


作業着姿の流星がハンドルを切る。この光景にも慣れたなあなんて思うけれど、今日でしばらく見ることができなくなる。


なんか寂しいな。俺、女の子みたい。


「寂しい？」


俺の心情を読み取ったのか、流星がこちらを向く。いつの間にか、車は駅近くに停められていた。


「…うん」


素直に頷くと、流星は目を細めた。何も言わずに俺を見つめるから、少し恥ずかしくなって俯いた。


すると、正面からカチャカチャと金属音が聞こえる。気になって顔を上げると、流星が右耳のピアスを外していた。


何してるん？


尋ねようとした瞬間、流星はこちらに手を伸ばしてきた。そのまま俺の右手を両手で包む。


「流星？」


「お守り。持ってて」


いや、俺ピアス付けへんし。なんて思ったけれど、流星の目は真剣そのもので俺は何も言えなかった。


「着いたら連絡してな」


「オカンにも言われたわ」


「オカンより先にして」


ぷくっと頬を膨らませる流星。彼女かよ。


「わかった」


そう言うと、流星は安心したように笑った。車内で流星にお礼と別れを告げて、俺は駅に向かった。

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