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駅の隣にあるスーパーに自転車を停めて(あとで怒られるぞと言ったが、流星が大丈夫と言っていた)、俺たちは中間さんの元へ向かった。


中間さんは大きなリュックと小柄なスーツケースを携えていて、俺たちを見つけると笑みを浮かべた。


「ほんまに来てくれたんか。ありがとう」


「めっちゃ荷物ありますね」


「全部本よ。また本に囲まれた生活が始まるわ」


内容は愚痴っぽいが中間さんの表情は明るかった。漠然と、よかったななんて思った。


「写真撮りましょ」


そう言って流星が慣れた手つきでスマホで自撮りの準備を始める。中間さんを挟んで俺たちは横並びになった。


「はい、チーズ」


カシャ、とシャッターを切る音がする。その瞬間なんだか涙が出そうになった。


思い出ってこうやって作られていくんや。現実が過去に変わる瞬間。


「重岡くん、色々ありがとう。僕は君に出会えてよかった」


「こちらこそ、中間さんにはお世話になりました」


そう言うのが精一杯で、俺は中間さんを抱き寄せた。中間さんはふふふと笑って、俺の背中をポンポンと叩いた。


「藤井くんも、ありがとう」


「俺も。色々楽しかったっす」


流星もまた中間さんと抱擁を交わしている。中間さんが耳元で何かを囁いたようで、流星は少しだけ耳を赤くしていた。


流星と中間さんは身を離し、中間さんは腕時計を見た。


「ほな、そろそろ時間やわ」

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Hana(プロフ) - ころさん» コメントありがとうございました。前作に引き続き読んでくださっているようで嬉しいです。また次作の更新を楽しみにしていてください。 (2021年8月23日 20時) (レス) id: a0a6b60e39 (このIDを非表示/違反報告)
Hana(プロフ) - #TODAYさん» コメントありがとうございました。楽しんでいただけたようで何よりです。 (2021年8月23日 20時) (レス) id: a0a6b60e39 (このIDを非表示/違反報告)
ころ(プロフ) - 完結おめでとうございす。心あったまるような愛くるしい作品をありがとうございます。とても大好きな作品です!番外編や次作がありましたら、楽しみにしてます。陰ながら応援させていただきます。 (2021年8月19日 9時) (レス) id: 6fc41468f4 (このIDを非表示/違反報告)
#TODAY(プロフ) - とても好きな作品でした。完結まで書いて下さりありがとうございました。番外編がありましたら、そちらも楽しみにしております…! (2021年8月18日 23時) (レス) id: 3e33249399 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Hana | 作成日時:2021年6月11日 22時

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