狙撃手との仕事 ページ10
「鬱先生。また女の人を振ったのですか」
グリムは呆れながら、部屋から出て言った女性を見送る
ちなみに、このような現場をもう二回ほど見ているので、グリムはいたって冷静である
「いや、今日はちゃうねん。あの女がふったんや」
「相変わらずのようで」
鬱先生はげすい笑みを浮かべながら、言葉を放つ
グリムはそんな鬱先生を、今もいる三人の彼女に見せたいと思った
「そんなことより…今日は何をするのですか?」
鬱先生は考えるそぶりをして、何か思い出したかのように人差し指を立てる
「付き合ってくれへん?」
「何をですか?」
普通の女子なら勘違いしそうな言葉を得意げに言った鬱先生
それを一瞬でフラグ破壊したグリム
鬱先生は若干悔しそうにしながら、内容を話す
「兵士の訓練。俺だけじゃめっちゃ時間がかかる」
「逆にあの人数を今まで一人でまとめていたのですか?」
グリムの疑問に、鬱先生は当たり前のような顔をしてうなずく
あれだけ無能と言われていても、結局実力者というわけだ
グリムは鬱先生の後ろについていき、訓練所に向かった
「!鬱様、こんにちは」
部下の一人が勢いよく例をして、鬱先生に挨拶をする
「あー、そんな固くなくてええよ。おーいお前ら!訓練始めるで」
いつもなら出さないようなはきはきした声で、鬱先生は指示を出す
(いつもこうならいいのに)
グリムはその言葉が喉まで来たが、つばと一緒に飲み込んだ
「新しい幹部の紹介ついでに、一緒に訓練するで」
鬱先生はグリムに目配せをして、自己紹介をするように促す
グリムはコクリとうなずき、自己紹介を始める
「皆さん、こんにちは。グリムと申します。これからよろしくお願いいたします」
グリムは深々と頭を下げ、挨拶をする
鬱先生はその様子をじっと見ていた
「はい、よろしくしたってな。んじゃ、グリムちゃんと一対一で戦いたい奴、おる?」
鬱先生の言葉に、グリムは目をぎょっとさせるが、口元は笑みでゆがんでいた
すると、兵士の中でも強気そうな人が言葉を放つ
「新しい幹部と思えば、ただの女かよ」
兵士は悪態をついた
「んじゃ、始めるで」
鬱先生の号令で、二人は向かい合う
「始め!」
パァン!
銃の発砲音が部屋に鳴り響く
男がグリムめがけて撃ったのだ
しかしグリムは軽々とよけ、男の後ろを取る
「はいチェックメイト。後ろもちゃんと気にしようね」
グリムはそう言って笑う
「さすがやなぁ」
鬱先生は呟いた
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