外交官との仕事 ページ9
「マンちゃん。今日は何やるの？」
グリムはオスマンに仕事を手伝ってと呼ばれて、部屋に来た…はずだった
当の本人はマカロン片手に本を読んでいる
時々、「めう〜」と鳴く(？)が、それ以外は、グリムの言葉に耳を貸さない
「あ、あのマンちゃん？」
パタンとオスマンは本を閉じて、グリムのほうを見る
グリムがようやく気付いたと安心していると、オスマンは不機嫌そうな声で話す
「…ずるいやん」
「へ？」
予想外の言葉に、グリムは間抜けな声を出す
オスマンはそれを気にせず、言葉をつづける
「俺も姫抱きしたかった！」
(そんだけかよ…)
グリムはオスマンに冷ややかな視線を浴びせる
だが、オスマンは本気なようで、いつもは綺麗に整えて、崩れないようしている髪の毛をくしゃくしゃにして声を荒げる
「あ゛ーもういやめう」
「はいはい、マンちゃん何をすればいいの？」
グリムの塩対応に一瞬涙目になるオスマンだったが、何かをひらめいたような顔をする
「書類整理やってもらうめう」
「それだけでいいの？」
早速準備に取り掛かるグリムを、オスマンは引き止める
「俺の膝の上でな」
グイッと引かれ、グリムはバランスを崩す
親友だからと油断していたのがあだとなり、うまく受け身が取れない
「一緒にやるってゆうたもんな？」
「そ、そうだけど！」
グリムは何も言い返す言葉がなく、ただ黙る
さすが外交官
「さてと…ペンとって」
「はいはい」
約一時間後
書類はもともと少なかったのもあり、残り数枚となった
もちろん、二人は休みなしでぶっ続けでやっていた
グリムは若干仕事がやりにくそうだった
「ひゃん！…ちょっと胸触らないでよ」
「そんなことしてないめう〜」
オスマンの(変態)紳士的な行動で、今まで続いていた集中力が一気にそがれた
「ちょ…っと腰触るな変態！」
じたばたと暴れてみるも、オスマンの力にはかなわない
もちろん武器を常備しているような物騒な人ではないため、グリムは対抗の手段を持っていない
「めう〜聞こえな「オスマン？そんなに掘られたいの？」げっ…ぺ神」
いつもはふわふわした声のぺ神は、今は低くて少しどすがきいている
神と書かれた紙で表情は見えないが、きっと怒っているだろう
「はぁ〜。グリムごめんな？」
「ぺ神〜」
そういってグリムはぺ神に抱き着きに行った
オスマンとの仲が一時期こじれたのは言うまでもない
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