断罪される罪 ページ34
「待って！軍曹！嫌っ…いやだぁ！！！」
消えかかる軍曹をこの場につなぎとめるように手を伸ばすグリム
それを止めようとチーノはグリムの両腕を拘束した
嫌々と駄々をこねるグリムは子供の様で、ただ泣き叫んでいる
「待って！やっと会えたのに！私はっ、貴女が、ずっと……」
「行くなっ！行ったらアカン！」
「好きだったのに！！！」
チーノの制止の声を気にも留めず、グリムは言葉を紡いだ
軍曹に触れようとした
しかし、その言葉に軍曹はフッと微笑み、やがて消えた
グリムは膝から崩れ落ちる
「どうして…私、もう、生きられない」
虚無に長年囚われたグリムは、それからの解放を受け入れられない
なぜ彼が消えてしまったのか
何故私の言葉を皮切りに彼は居なくなったのか
グルグルと頭の中で無限の何故が駆け回り、やがてグリムを蝕んでいく
「言ったやんか。それは
「っ！？如何、して？まさか、アンタは…！」
「えぇ、貴女がよーく知っている、
チーノの口がにんまりと弧を描く
瓶底眼鏡をはずして、チーノはそのゴールデンイエローの瞳でグリムを見据える
グリムは体を強張らせ、咄嗟に身を守る体制をとる
「ま、と言っても戦う気はさらさら無いんやけど。貴女の罪は許されたし」
胡散臭い言葉にグリムはキッと睨む
チーノはわざとらしく肩をすくめ、グリムを煽っていく
まぁ、それが本人の狙いなのかは定かではないのだが
そのあからさまな煽りにグリムはため息を吐いて、心を落ち着かせる
「…目的は？」
「あれ。まだ分かって無いんか？貴女を解放しに来た。聞きたい事もいっぱいあるやろ？
俺が全部答えたる」
訝しげにグリムはチーノを見つめたが、彼の能力に対抗出来る訳がないと判断して
その行為はすぐにやめた
それに満足したのか、チーノは満面の笑みを浮かべた
今まで浮かべていた、うさん臭いものではなく、本物の、心を許した相手に見せるような笑顔を
その表情に息を呑む
グリムが見惚れれば、チーノが頬を染める
「あんま、見んといてください」
申し訳なくなったグリムは咄嗟に視線を外し、チーノに質問をしていく
自分が今一番気になる、軍曹について
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