緑の脅威 ページ22
「マンちゃん」
「ん〜？」
「帰って」
「ん〜」
先程からずっとこの会話が続いている
理由はいたってシンプル
グリムの部屋にオスマンが侵入していたのだ
紅茶を飲みながら、優雅に読書をしている
もちろん、グリムには何の連絡もしていない
ちなみに、幹部全員はキーピックの技術も持っているので、鍵を閉めていたグリムの部屋に勝手に入ることもたやすいのだ
(技術の無駄使い…)
グリムはそんなことを考えながら、大きなため息をついた
右手に握りこぶしを作り、すぅっと息を吸った
「私に従いなさい、オスマン。貴方は今すぐこの部屋から出ていく」
すると、淡い光がオスマンを包み込んで弾けた
オスマンは目を見開き、ぎこちない動きで部屋を出ていこうとする
「嫌めう！ひどいめう〜」
わざとらしく駄々をこねているオスマンに、冷ややかな視線を送る
「Now get out!!」
叫ぶ
オスマンが自ら部屋を出て行ったのを確認して、グリムはソファーに体を沈めた
グリムは満足そうに笑い、近くにあった毛布をかぶって目を閉じる
意識は沈みかけて…
========
ゾムside
「グリムー！あしょぼー！」
グリムの部屋の扉の前に立って、ゾムは叫んだ
いつもなら嫌そうに扉を開けてグリムが出てくるが、何の反応もない
コンコンコン
ノックをしても返事は返ってこない
試す順番が逆なのは普段通りだ。安心してほしい
ガチャガチャ
ドアノブをひねってみるが案の定鍵がかかっている
「ンフフ。意味ないけどなぁ」
針金を二本ほど鍵穴に入れて動かす
かちゃり
鍵が開いた音がした
ゾムはにっこりと笑い、扉の中へと入っていく
「無視するなんてえぇ度胸…や、ん」
「うぇ？」
すやすやと眠っているグリムを見て、思わず変な声が漏れるゾム
これが狂犬達に聞かれていたら散々いじり倒されるだろう
ソファーの周りをくるくる回っても、一向に起きる気配がない
グリムの頬をプ二プ二突いても身じろぎ一つしない
面白くなってきたゾムは、首筋に指を這わせる
「可愛いなぁ」
顔を近づけて、首筋にかみつく
口を離せば、わざとらしく見えるような位置にキスマークがついていた
ゾムはグリムを姫抱きし、ベッドへと移動する
グリムを寝かせ、自分も体を沈める
「俺も、眠く…」
髪の毛をいじっていたゾムは、グリムを抱き枕のようにして意識を手放した
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