【d!】甘い甘いスイーツと・・・ (ページ29)

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大天使の降臨ページ29

トントンは自分の後ろに隠れた、ひどく怯えたグリムを見て額に青筋を浮かべた

腰の部分に掛っている粛清剣を右手に持ち、左手はグリムを庇うように伸ばす

その行動にグルッペンは少し驚いた表情をした

「ほう、トン氏が私に反旗を翻すとは思っていなかったのだが…」

グルッペンの言葉に、すかさず反論する

「もちろん、普段やったらそんな事しませんけど。ただ、他人を巻き込むのはちゃうんやないか？
　グリム困っとるやろ」

グリムはその言葉に嬉しくなる

自分を認めてくれたという幸福感と嬉しさから、トントンの軍服をギュッとつかむ

大きな背中に、顔を埋める

心なしか、トントンの肩がピクリと揺れたようにグリムの瞳には映った

「あぁ、でも、トン氏らしいなぁ」

ニヤリと笑ったグルッペンの顔は、悪意の塊だった

トントンの思考を分かった上での反応

トントンは咄嗟にグルッペンから目線を外し、グリムの首筋を見る

赤く充血した独占欲の花を見る

トントンの喉から、ゴクリと音が鳴った

グリムの耳に届かぬように、グルッペンはトントンの耳元で呟いた

「グリム、美味しかったなぁ。トン氏には渡さんゾ」

ぽん、と肩を叩き、グルッペンは会議室から出て行った

トントンはそれにひどく安堵する

「大丈夫やった？グリム」

クルリと後ろを振り向き、カタカタと震えているグリムに声をかける

グリムはグルッペンがいないことを確認して、トントンに抱き着く

グリムのほんのり甘い洗剤の香りが、トントンの鼻を擽る

トントンの顔が真っ赤に染まり、目をぐるぐる回す

「ありがとう、ございました。もうすぐで私…」

言いかけて、口籠る

グリムはトントンから離れ、真剣な顔つきで口を開いた

「今から言うことは、決して、誰にも、言わないでください」

そんな言葉に、トントンの顔が強張った

先程まで真っ赤にさせていた顔も、冷静さを取り戻していた

「私は、他人の縁を破棄させる能力を持っています。
　すなわち、私は他人の縁と干渉できるという事。
　この能力は使い方を間違えれば…」

「国際問題に繋げられる強大な能力…」

トントンの呟きに、グリムは首を振った

「能力の使用方法は、相手に好意を持たれる事。先程のグルッペンさんの行動は危険でした」

グリムの言葉に、トントンは眉を顰める

一つ疑問が浮かんだからだ

しかし、その質問をする勇気はない

「…分かった」

グリムの無理に作った笑顔にトントンは目を背けた