悪戯はほどほどに ページ25
「文句あるんですか？」
「ありありなんやけどなぁ。しかも、先輩に対しての礼儀がなって無いやん。出直してきぃ」
この場所で最も口撃が得意な男と、煽りが得意な男がぶつかった
口から放たれる様々な暴言、中傷は、次第にエスカレートしていった
「…黙れ」
グルッペンがどすのきいた声で二人を止める
紅の瞳からは、明らかに怒っていることが受け取れる
「ショッピとやら、私は君を歓迎しよう。しかし、グリム困らせるのは断じて許さない。
オスマン、それぐらい許してやれ。それともお前はそんなに心の狭い人間だったのか？」
その言葉にオスマンなら彼が総統という立場なので指示に従うことは分かるが、
ショッピ君に関しては指示に従う義理がない
彼は本能的に言葉を放つのをやめたのだ
「あー。まぁ、えと、宜しくってことでええな？」
トントンが若干声をひそめながら問う
その言葉を聞いたメンバーは、グルッペンに目を向ける
グルッペンは二人に目配せをして、瞳をそっと閉じた
「…すまん。ついカッとなってしまっためう」
「俺も、調子乗ってすみませんでした」
潔く謝った二人は、グリムの方を見て一礼した
謝罪しているのだろうが、グリムは内心困惑していた
(私特に気にしてないんだけどなぁ)
しかし、それを言うとまた面倒なことになりそうなのでグリムはその思いは心の奥底にしまった
「大丈夫ですよ。えと、宜しくお願いしますね」
グリムの言葉を聞き終えたメンバーは、何かの準備を始めた
いそいそと無言で準備を始めるので、グリムは首をかしげる
すると、グルッペンが大きなプレートを取り出した
「ドッキリ大成功！」
『いえーい！』
「は？」
静かだった室内が、一気に騒がしくなる
ショッピ君とオスマンはハイタッチをして、ゾムは口元を抑えて笑うのを我慢している
その光景にグリムは間抜けな顔をしていた
しかし、だんだんと怒りがこみあげてくる
自分の大事な睡眠時間をこんなことに取られたのかと
そう思えばグリムはなんでも壊せるような錯覚を覚えた
「ひとつ、我儘を言っていいですか？」
「ああ、良いゾ。俺は非常に機嫌がいい」
悪戯に成功したグルッペンは満面の笑みを浮かべていた
次の言葉を聞くまでは
「殺しても、いいですか？」
凄まじい殺気が辺りに放たれる
ピリッとした空気が全員の頬を伝い、冷や汗が出てくる
彼女を止めるのには三十分かかったそうな
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