-28話- ページ31
有馬さんや、エトと話したあの日から数日____Aは一切、家から出なくなっていた。
時々、“ あんていく ”のメンバーから、心配の電話やメールが来ていた。 一応それにはすべて対応したが 、店に顔を出す気は起きない。
『どーしよ……これから…』
ベッドに寝転がり、うーんと唸っていたその時
“ ピンポーン ”
インターホンが鳴った。
のそのそと駆けて、玄関の扉を開けるとそこには、見覚えのある黒髪の少年が立っていた。
『カネキくん!』
「ど、どうも…」
『どうやってここまで?』
「トーカちゃんに住所を教えてもらったんだ。ごめんね?勝手に」
『ううん!いいよ!大丈夫!』
苦笑いを浮かべるカネキの手には、紙袋。 恐らくコーヒーか何かの手土産だろう。
とりあえず、“入って”と部屋に招き入れた。
「これコーヒーなんだけど」
『わーお…ありがとう。カネキくん。』
「どういたしまして」
『ン?』
ふと、気になった。
鼻腔をくすぐる、この嗅ぎ覚えのある匂い
『月山サンのにおい…』
「えっ」
『アイツになにかされた?』
『変なレストランとか、連れていかれなかった?大丈夫?』
「………連れて行かれた……」
『はぁぁぁ………… 』
安堵と呆れの溜息が盛大にもれる。
そして、目の前のカネキをぐっと抱き締めた。
『よかったぁ…無事に帰ってきて……よかった』
「Aくん…」
久しぶりのカネキの感触を、存分に楽しんでいたAは、不意に彼に髪を触られて唖然とした。
『どうかした?』
「いや、…Aくんの髪の毛、出会った当初もう少し黒かった気がするなぁ…と思って」
『……………え?』
____黒かった?
待て待て、そんなことないだろ。と思い、慌てて自分で確認してみる。
『………』
「ぼ、僕の気のせいかもだけど…」
『……カネキくんの言う通りだ』
____少し、髪が白に近付いている
手に触って確かめた己の髪は、ほんの僅かに白くなっていた。
『こりゃ……黒染めしないとだね!』
「染めるの?!」
『うん!白髪はヤダもん、アハハ』
“ 半喰種は寿命が短い ”
ということを、ある知人から聞いていた。
____まずいな
なんで、こんなに焦ってるかって?
子どもの頃俺は、黒髪だった。
つまりは“ そういうこと ”だろ?
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レイン - 最後まで読んで「続く」見て、独り言で続けって言っちゃった (2019年1月26日 16時) (レス) id: a956189dd3 (このIDを非表示/違反報告)
ダメ天使 - すごく面白くて一気に読んじゃいました!!続き楽しみにしてます。 (2018年2月8日 10時) (携帯から) (レス) id: 89fc855d6c (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 林檎。さん» そそそそ、それは奇跡…いや運命に近いですね!w。ありがとうございます!これからも更新頑張りますので、よろしくお願いします! (2017年7月19日 21時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 稀羅さん» ありがとう!そう言っていただけますと、とても励みになります!頑張ります! (2017年7月19日 21時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 輝夜さん» 最近亀更新ですみませんでした!応援ありがとうございます!これからも更新頑張ります! (2017年7月19日 21時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒氷雨 | 作成日時:2014年7月17日 9時