月と銃声２【SERVAMP】 (ページ10)

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パンナコッタページ10

鼓動が速まる。めくった先に現れる文字を、一秒でも早くつかみとろうと視線を走らせる。

『森の奥に住んでいた女性のC3隊員が、任務に来ないことを不審に思った隊員の通報により、先日無惨な遺体が発見された。』

襲撃事件？遺体？どういうことだ。母は私たちを捨てたはずなのに。だってそうじゃなきゃ、そうでなきゃいけないのに、

「女性隊員には二人の子供がいたが______」

でも、もしそうだとしたら。それなら私は今まで

「エリーゼちゃん」

「つる、ぎさん……？」

首に衝撃が走る。どうして、と口にした言葉は、音になる前に意識と共に刈り取られた。

「ごめんね」

　記憶の中の優しい声が、私の名前を呼ぶ。木々の間から漏れる静かな光、さえずる鳥たちの歌声が大好きだった。

「エリーゼ、こっちにウサギの親子がいるんだよ」
「遊ぶのはいいけれど二人とも、あんまり遠くに行かないでね」
「はーい！」

でも、大好きな森よりも好きな人たちがいた。
優しい母と、賢くて面倒見のいい兄。
ずっと一緒にいたかった。一緒にいたかったのに_____。

　ぼんやりと天井を見つめる。憎らしいほどいつもどおりの天井だった。瞬きすると、ほおに涙が伝っていった。

「………どうして」

とにかく、確かめねばならない。心地良い布団から抜け出して、涙を拭って起き上がった。