月と銃声２【SERVAMP】 (ページ17)

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フォイトーンページ17

“もうすぐ町に出る”

兄の言葉を原動力として私は歩き続けた。

町に出たら、人々の暖かさに泣いてしまいそうだ。
きっとその場に座り込んで泣き喚いて、またお兄ちゃんを困らせてしまうだろう。そして、家に帰ったらお菓子の棚を開けて、お兄ちゃんとお菓子を沢山食べるんだ。

これから起こる普通の毎日が、とても特別で楽しみになる。お母さんのすぐそばで寝て、みんなで同じ食卓を囲む。暖かい家で、美味しいご飯をたべる。
みんなで楽しくお話して笑いあう。

「お兄ちゃん」
「お家に帰ったら、いっぱいお菓子食べようね」

「………うん」

小さく返事をしたのを確認して、兄へと駆け寄った。手を繋いで歩き続ける。手はちょっとだけ冷えていたけど、そんなのは気にならなかった。

お腹の虫は騒ぎ続けていたけど、もう少しの辛抱で町に出る。その時に事情を話せば、もしかしたらなにか恵んでもらえるかもしれない。

隣を歩く兄は表情１つ変えないで、前を見続け歩いている。憧れでもあった兄の真似をして、私も前を見て地面を踏みしめた。