月と銃声２【SERVAMP】 (ページ14)

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ガナッシュページ14

そんなわけないだろ、と叱るふりをしながら楽しそうに笑う兄は優しかった。摘まんだクッキーを差し出すと心から嬉しそうにお礼を言われて、それが何より嬉しかった。

「お兄ちゃん、今日はなにをするの？」
「今日は森で遊ぼうよ、きれいな場所を見付けたんだ」
「ほんとう？楽しみ！！」

　もしかすると、この時既に兄たちは知っていたのかもしれない。幸せに終わりが訪れる時のことを。

「ぐすっ……かえりたいよ、お兄ちゃん」
「大丈夫だよエリーゼ、心配いらない……きっとすぐに帰れるからね、お母さんが迎えに来てくれる」
「うん……でも、やっぱり怖いよ」

　その日はいつものように森に入って、おやつのクッキーを片手に駆け回っていた。
けれど、家から離れすぎてしまって、いつの間にか日が沈んでいた。私はどんどん家から遠ざかっていく気がして不安になったけれど、前を歩く兄は弱音ひとつ言わなかったから、私も一生懸命歩いた。

歩いても歩いても、家は見えてこない。
目の前に広がるのは木ばかりで、自分たちが今どこにいるかなんてとっくに見失っていた。