スフレ ページ12
「……吊戯さんから話は聞いてるよ。君の母親について、書類を読んだんだろ」
「核心に至る前に止められました。ですからこうして質問しているんです」
「質問……？ 脅迫の間違いだと思うけど」
「………っ」
右手に握った拳銃を一瞥して、御国が眉を八の字にして笑う。お菓子型の武器をわざと使わない理由は、御国がさっき言った通りだ。
狙いが分かっているなら問題無い。
銃を構え、引き金に指を掛けた。６。六発の実弾が込められている。
この距離では回避は不可能。真実を隠そうとするなら、たとえ相手が御国でも躊躇う理由は無い！！
「私には知る権利がある！！ 貴方ならよく分かっている筈でしょう、この痛みが！！！！」
「だからだ、と言ったら？」
「……っ、意思を明確にしてください」
腕が震える。この怒りに、焦燥に打ち震えて止まないのだ。
「エリーゼ、君にはまだ早いからだ」
「何がです！？ 私はもう大人で、覚悟だってもう……！！」
「いいや、まだだ」
「………」
どうしても退く気はないらしい。銃を構えたまま、一歩後ろに下がった。
「……そのときが来たら、教えてくれるんですね？」
「ああ、約束しよう」
読めない男だが、その言葉に嘘は無い気がした。これ以上質問しても彼は何も答えないだろう。だったら、“そのとき”とやらを待つしかないのだ。
「御国さん、朝ごはんにしましょう。今日はフレンチトーストですよぉ」
「変なアレンジは無いんだろうね？ まさかフレンチトーストで失敗するはずも無いだろうし、ねぇアベル」
「その話はもう掘り返さないでください！ 普通に美味しく作りますよぉ」
くるりと回してから、拳銃を懐にしまった。
「あ、ジェジェさんにも声を掛けてきますね」
「じゃあ俺は紅茶でも淹れておくよ」
部屋を出ると、子どもの頃の思い出が蘇ってきた。
あの幸せだった日々、かつての弱い私が…
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作者名：ぐらD&さばのうさぎ x他1人 | 作成日時：2017年1月15日 20時
