月と銃声２【SERVAMP】 (ページ11)

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タルト・トルペジェンヌページ11

階段を降りて、リビングへと向かう。
ドアを開けると見慣れた顔がミルクティーを飲んでいた。

「おはよう、エリーゼ」
「御国さん…」

私に気づくと微笑みを浮かべ、夕暮れの光が差し込む中で朝の挨拶をする。聞きたいことは山ほどある。大股で御国に近づくと、挨拶さえも忘れて、その疑問は口から飛び出して行った。

「御国さん。貴方、吊戯さんと一緒で私の母のことを知ってるんですか？どうして今まで教えてくれなかったんですか？吊戯さん、私が母の資料を探してるって言ったとき、表情が曇ったんです。それって私の母のこと知ってるってことですよね？ねぇ、」
「エリーゼ、落ち着いて」

まるで自分の口じゃないように舌が回った。御国は終始落ち着いていて、私に優しい声色で言葉を投げかけた。その瞬間、魔法がかかったように先程まで思い浮かんでいた疑問がパッと消える。言葉に詰まった私を見て、御国は私にミルクティーを汲んだ。

「とりあえず、それ飲みなよ」
「…ありがとうございます」

飲むように促された私は小さな声で礼を言って喉へと流し込む。甘く優しい風味が広がり、喉の奥へと消えていった。

「…御国さん」
「ん？」

蚊の鳴くような声で、俯きながら私は続ける。

「教えてください…母のこと」

御国はしばらくの間無言だった。
アンティークな時計の針の音だけが部屋に響く。
その空気は私にとって重くて、ミルクティーをちまちまと喉へと流し込むことしかできなかった。