【グラブル】二翼の絆 ―番外編＆後日譚― (ページ10)

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～堕天司のきまぐれ～ページ10

ルシファーが四大天司を造った後の話
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「…この力を経由して、組み込めば安定するか…？」

物の多く広がる空間で一人の男が作業を進める。羅列された数式と設計図、そして無造作に置かれたパーツ。その中の一つを拾いながら白い服を着た男がやってくる。

「ま～た散らかして…そろそろ片付けないと足の踏み場もないよファーさん」
「…」

話しかけた男を無視し、黙って作業を続ける。それを気にする様子もなく男はひたすら片づけをする。大方片付けが終わったころに、それは完成する。

「あれ、それって前に行ってたスペアかい？」
「あぁ。ルシフェルに近々付けようと思ってな。だが、俺が作ったのにしては出力が弱く安定性が低い。これは失敗作だな」
「へぇ…」
「べリアル、俺は今から出る。その間にそいつが目覚めたらいろいろ試しておけ。そうだな、言語能力位は見ておけ」
「はいはい、わかったよ」

べリアル、と呼ばれた男は軽く返事をすると、出来上がった失敗作へと目を向ける。

「なるほどね…君は随分と綺麗に作られたものだ。ルシフェルの後継にしておくには勿体ない」

ほほに触れると、その失敗作はゆっくりと目を開ける。

「…おはよう、気分はどうだい？」
「おは…よう？」

首を傾げた失敗作――――もとい天司にべリアルはわずかに口角を上げる。

「君はたった今作られたんだ。ファーさん…ルシファーっていう、ここの一番偉い人にね。で、君の生まれた理由なんだけど、ルシフェルっていうファーさんにそっくりな俺の上司がいるんだが、そいつのスペア…まぁいわば、不測の事態に備えた役割で君は生まれた。だが少々ファーさんが適当にやったらしい。君は少し不完全でね」
「不完全…僕が？」
「あぁ、だが心配はいらない。と言っても今のままでは破棄されてしまうだろうがね」
「破棄…！？」

恐れるようにのっぴく天司。その様子にべリアルは声をあげて笑う。

「俺の力をあげよう。そうすれば、多少は力も得られるだろうさ」
「あんたの…力」

そういうと、べリアルは天司の腕に触れ、手の甲にキスを落とす。その瞬間天司の中に何かが流れ込み、記憶の混濁が始まる。

「ふふ…おやすみ」

目を閉じたAを寝かせ、べリアルは部屋を出る。そして入れ違いで戻ってきたルシファーは、天司がまだ目を覚ましていないことに違和感を感じつつ、同時に実験室に送り込むことを決めるのであった。