〜堕天司のきまぐれ３〜 ページ12
「そう怖がらないでくれないか。私は君の敵ではない」
「…あそこにいるヤツは、皆僕を失敗作だっていう！なぜだ！？僕が何をしたんだ！？」
自らの生への理不尽を叫ぶ。その場から何とかして逃げ延び、いつか羽が顕現できるようになったら逃げる、という計画をもう一度思い出す。一歩ずつ少しずつ後ろへ引いていくと、ルシフェルは突然笑い出す。
「なっ…」
「すまない。あまりにも怖がられてしまったみたいでね」
「…ッ」
「私の事は、知ってるかな？」
「天司長ルシフェル…」
「そうだ」
「そして僕がスペアとして働くはずだったヤツ…」
「ああ、そうだね」
「役立たずはいなくなって清々するだろ！？天司長サマは放っておいれくれよ！」
笑顔の崩さなかったルシフェルだったが、一瞬悲しそうな顔をする。剣で脅せば逃げるだろうと思い、突っ込んでいくが、微動だにしない相手に、思わず立ち止まる。
「…ッ！？」
一歩もよけないルシフェルに信じられないという様子でルシフェルを見る。
「なんで…避けない」
「君からは殺意を感じないからね」
「でも、一歩間違えたら…」
「そうだ。でも君は止まった。私を脅かして逃げるつもりだったのでは？」
「…ハハ」
その瞬間、すべてをあきらめる。絶対的な力を持った男に勝ち目がないこと、自分がいかに失敗であったかを思い知った。しかし、ルシフェルは自分を破棄どころか自分の直属として働かないかと持ち掛けるのだった。
「ついていきますよ、天司長」
「うん、期待しているよ」
あれから数千年経ち、白い服から黒い服へと姿を変えた堕天司は、久しぶりに見た姿に思わず口角が上がる。その姿を思い出し、一人笑う。
「何を笑っている」
「え？オレそんなに笑ってたかな」
「知らん。気味の悪い顔であったのは確かだ」
「へぇ…」
「何を考えている」
「あれ、バブさん俺に興味わいた？」
「減らず口を叩くな。余は騒がしいのは嫌いだ」
「連れないねぇ…思い出していたんだよ。昔の思い出を」
「思い出…？」
懐かしむように笑う男―――べリアル。そしてバブさんと呼ばれる男はカナンへと至る道のりで立ち止まる。
「何を考えてるかは知らんが、しくじるなよ」
「オーケイ。任せてよ」
軽く答えたべリアルにため息をはきながら男は進む。その後姿をながめつつべリアルは昔の事を思い出す。
(まさか、本当にオレの力で幽世の力を扱うとはね…本当にキミは最高だよ、A)
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ミレン(プロフ) - こちらにコメントください！ぜひぜひお気軽に！！割と大真面目にお願いします（（ (2019年3月29日 16時) (
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月20日 23時
