〜四騎士と天司10〜 ページ10
「……ッ?」
来るべきはずの痛みが来ず、恐る恐る顔を上げると、女の腕をつかむサンダルフォンがいる。
「何をしている?俺の部下になぜ手を挙げた」
「ち、違うの!これは…」
「Aもなぜ抵抗しない?…む?」
Aの手にあるワインボトルに目をやると、それを抜き取る。
「これで、君は抵抗できたか?」
「…」
「ま、君ならしないだろうね」
冷静に分析したサンダルフォンはもう一度女の顔を見る。その目は怒りに燃えており、女は短く悲鳴を漏らす。
「少なくとも、君は嫌いだ。だが、この店で働く以上は我慢をしよう。しかし…俺の部下であり、友人を傷つける輩は許すつもりはない」
「ひっ…」
サンダルフォンの殺気に女は後ろへと下がっていく。すると、女は何かにぶつかり、驚く。
「どういうことかな?A」
「は、白竜騎士団…!?」
「あれ、早いじゃん…」
「うわ!怪我してるじゃねぇかよ!ちょっと見せてくれ…」
「大丈夫だ。すぐ直る」
ヴェインがAの怪我を治療し、パーシヴァルとランスロット、サンダルフォンが女を囲む。そしてジークフリートが女の持っている椅子を抜き取ると女は力が抜けたように座り込むのだった。
「事情を話してもらおうか」
「い、いやぁ!捕まりたくない!私悪くないもん!」
「虫唾が走る…俺達の仲間を傷つけておいて何を…」
パーシヴァルの言葉に女は唖然とする。
「ちょっと待ってよ…あの女…どんなけたぶらかせば気が済むのよ!」
「そもそも、Aは誰もたぶらかしてはいない。俺達の国を救った恩人の騎空団の仲間だ。仲間を傷つけるのは騎士団であっても船の仲間であっても俺は許さない。さぁ、あとは王宮の騎士団の詰め所で聞こうか」
ランスロットの静かな怒りを感じた女は、何も言うことなく立ち上がる。
「ま、待って!」
「あ、おいA!?まだ傷が…」
「その人を罪に問わないでほしい。僕はすぐ直る。それに…何かおかしい」
「…なに?」
「明らかに…何か違う魔力を感じる。おそらく、感情を増幅させる類の…」
「まさか、チャームか?」
「いや、あれは違う。だから、魔法を解いて正気に戻ったら…」
「しかし…お前が被害者なんだぞ」
ジークフリートの言葉にAはうなずく。
「だからこそ、僕が許すんだ」
そういうとAは女の首にそっと触れ、何やら施す。すると女は一瞬目を見開くが、すぐに目をパチクリさせて驚くのであった。
「あれ…何事で?」
13人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミレン(プロフ) - よせふさん» おおお!ありがとうございます!家に帰ったらすぐ取りかからせて頂きます!もし気に入っていただければまたリクエストください! (2019年4月2日 11時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
よせふ(プロフ) - はじめまして、もしよろしければルシフェル様とサンダルフォン、主人公の3人が中庭でほのぼのしているお話が見たいです…!二人と仲良しな主人公が見たいです!ぜひ!!ご検討ください!! (2019年4月2日 1時) (レス) id: f12f54b1ee (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 大真面目にコメントください (2019年4月2日 0時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月29日 23時