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Episode29 ページ42

「たかがスペア一つ壊しただけで…なに怒ってるのか」
「誰がスペアだと…?サンダルフォンは、サンダルフォンだ!共にいると誓ったのはスペアだからでも後継だからでもない…ともにいたいと僕が願ったからだ!お前だけは許さない…ア、ド、バ、ンァァァァァアアアア!」

Aの姿が変わり始める。背に生える翼は黒く染まり、かつてベリアルが変化したような禍々しいものとなる。その威圧感と覇気は、絶望、奈落、深淵などとは言い表せないようなものだった。

「…ッ」

サンダルフォンは、止めようと口を動かすが、すでにその体力もなく、目を開け続ける事すら困難となる。Aは真っすぐと男―――アドバンを見据える。

「俺も、久しぶりに呼ばれたよ。破壊を司るなんてイイモノ持ってるのに使えなかったしね…試させてもらおうか」

アドバンは剣を抜くと、Aと対峙する。ほぼ同時に互いに攻撃を仕掛ける。闇と闇のぶつかり合いによる争いにサンダルフォンは、Aが無事なのを祈って目を閉じる事しかできなかった。Aはアドバンの剣をさばきつつ攻撃をしかける。徐々に押され始めるアドバンだったが、不意に後退する。そして天井に向かって光線を放つと、上空へと逃げる。後を追おうとするが、突如Aの羽が消える。

「なっ…」
「時間切れか…まあいい、楽しかったよ…A」
「待て…!」

追おうにも体力が底をつき、膝をつく。追跡をあきらめ、サンダルフォンに駆け寄ると、すでに気を失っていた。

「…クソ、さすがに損傷が激しい。一度船に戻るか」

あたりを見回し、押さえつけてあるジークフリートの元へ向かう。傷は再生しつつあるが、虚無によって侵されたダメージが大きく、意識が混濁とする。

「今助ける…」

首元につけられた契約印に魔力を流し込み、解除する。それにより正気に戻ったジークフリートは、苦笑いをする。

「ああ…Aか」
「しゃべるな…傷が」
「ランスロット達は…無事か?」
「ああ…今は騎士団とともに国を守るために動いてる、国王も氷皇も助けた」
「そうか…」

ゆっくりと目を閉じたジークフリート。傷を再生するために気を失ったのだと気づき、安堵する。サンダルフォンとジークフリートを背負い、出口へと向かう。騎士団の奮闘により幽世の軍勢は片づけられており、すでに復興もはじまっていた。フラつく足に力を籠め、先へと進む。一時的に脅威の去った国は、不穏な何かを帯びていた。

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ミレン(プロフ) - よせふさん» おおお!ありがとうございます!家に帰ったらすぐ取りかからせて頂きます!もし気に入っていただければまたリクエストください! (2019年4月2日 11時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
よせふ(プロフ) - はじめまして、もしよろしければルシフェル様とサンダルフォン、主人公の3人が中庭でほのぼのしているお話が見たいです…!二人と仲良しな主人公が見たいです!ぜひ!!ご検討ください!! (2019年4月2日 1時) (レス) id: f12f54b1ee (このIDを非表示/違反報告)
ミレン(プロフ) - 大真面目にコメントください (2019年4月2日 0時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月29日 23時

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