Episode5 ページ6
治療が終わるとすぐに伏魔殿へ向かう。近づけば近づくほど、禍々しい空気がただよっていく。
｢くそ…やっぱり何人か逃がしたか｣
中を確認する。多くの堕天司が睨み付けている。
｢…………っ、いない｣
自らが捕まえた友人の姿が見えず、つい崩れ落ちる。
｢くっそ、オリヴィエもベリアルにも逃げられた。アザゼルも…ルシフェル様に伝えなくては｣
伏魔殿をあとにし、慌ててルシフェルのもとへと向かう。突如、黒い何かに遮られ、停止をする。
｢やあ、A…あえて嬉しいよ｣
｢お前は…ベリアル｣
｢そんなに怖い顔しちゃって〜。ねえ、ちょっと俺と遊ばない？｣
｢は？………っ！｣
突如、黒い光線が放たれる。間一髪避けきり、体制を整える。
｢さすが。そう簡単じゃないか｣
｢クソ…お前だけは！！｣
単騎で突っ込み、攻撃をするが、あっさりとかわされる。体力の消耗が激しく、とうとうベリアルにとらわれる。
｢くそっ…うぐっ!｣
｢そのきれいな顔が苦痛に歪むのは最高だ…あぁ、くすぐられるねぇ。君ってヴァージンなの？｣
｢誰が答えるかっ…｣
ルシフェルに預かった闇の元素をまとい、ベリアルから離脱する。
｢っはぁ…はぁ…｣
｢へぇ…彼以外に六枚羽を扱えるのがいるとはね…最高だ。達しそうだ｣
｢くっ…消してやる｣
反撃に出ようとするが、回復をしたばかりなのと、顕現をしたばかりで思うように動かない。さらに、ふと友人の姿がよぎってしまい、それが判断を鈍らせた。
「あぐぅあっ！」
「っはは…君は最高だ…その顔も、その羽も美しい。だが、ここでサヨウナラだ」
「く…」
「させないっ！」
「お？」
意識が潰えかけた瞬間に、第三者の乱入によって離脱する。
「…ハー、マー」
「あなたは下がってて」
「ここは僕たちが！」
「だめだ！指教は戦力特価じゃないし、何より…」
「もういいかい？俺も先走りが激しいほうでね…」
「よけろ、二人とも！」
「きゃあ！」
「うっ！」
べリアルの一撃が双子を撃墜させる。奈落へと落ちようとする双子を間一髪捕まえる。
「いいね…４Ｐとは燃えるシチュエーションだ」
「く…起きろ、二人とも」
「…」
「…」
「無理か…ならな」
役割も何も、友人にすらあった役割すら何もないAの、唯一の力。
「お前を破壊するだけだ」
「ほぉ…？」
双子を適当な場所へと移し、六枚羽に力を籠める。
「サンダルフォン、ルシフェル様…いつかまた、珈琲を…」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月3日 20時
