Episode4 ページ5
「ミカエルが言っていたのは本当か?」
「特異点に接触したのは本当です。申し訳ありません」
「…いや、責めるつもりはない。パンデモニウムの仕事は本来私の仕事だ。ほかの者を遠ざけているのは…」
「わかってますけど、あなたに何かあれば大損害ですよ。あなたの代わりはいません。それに、あいつが何をするか…」
「君はずいぶんと、サンダルフォンを気にかけているな」
「…同じだからですよ。役割の与えられていない孤独は、誰よりも僕がわかってます」
「そうか。…また、ともに珈琲を飲める日が来るといいな」
「…えぇ」
そういうと、ルシフェルはAにカップを差し出す。一口飲みこむと上品な香りとわずかな酸味が香る。
「やはり、あなたのはおいしい」
「君のもおいしいよ」
「…では、ミカエルに怒られる前にガブリエルのもとへ向かいます。くれぐれも、あそこには近づかないでくださいね」
「わかっている。ありがとう」
苦笑いした主、ルシフェルはAにそっと触れると、Aの羽が黒く色づく。
「サンダルフォン…お前も、孤独だっただろ?スペアなんて、あの方も僕も思ってないのに…」
部屋をあとにしたAは、かつてともに過ごした友人を思い出す。純粋で真面目だったサンダルフォンは、中庭でともに長く過ごした。役割のないことをずっと気にしていたが、あるときを栄えにルシフェルと距離をおきはじめる。
『A、お前は知ってたのか…?俺がスペアだと』
『知っていたさ。だが、あの方は完璧なんだ。だからこそ、お前の役割はないんだ…当然、僕も』
『お前が何を司っている。お前は俺を騙して…』
『むしろ、必要ないとしても羨ましい。僕は本当に役割がないからな。いい加減、機嫌を直せよ。心配しておられる』
『うるさい!くそ…!』
その後、ルシファーとベリアルの暗躍によって多くの堕天司が伏魔殿に格納された。サンダルフォンもルシフェルへの怒りから反乱に参加したため、伏魔殿にいる。
「あら?また怪我したの?」
「まあちょっとね。ミカエルに怒られたよ」
「ずいぶんとやつれたわね。少し休んだら?」
「気遣いありがとう」
的確に傷の治療をするのは水の元素を司るガブリエル。
「あなたがボロボロになって、サンダルフォンを押さえ込んでいたときには驚いたわ。あなたも羽がほとんとなくって…」
「今でも、あおつを捕らえたときを思い出す」
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月3日 20時