同居人の彼5 ページ19
剛典と暮らし始めて、半月過ぎた。
あっという間だなぁ。
あの日のキス以来、剛典のスキンシップが激しい。
いってきますとおかえりのハグ&ほっぺにチュー。
私を見つけたらくっついてくる。
慣れって怖いもので、気づいたら受け入れてる自分がいた。
今日もソファーで寛いでいると、剛典がいつもの様にくっついてきた。
『剛典、今夜は外食しよ。』
「いいよ、どこ行く?」
『私の行きつけ。』
私は剛典を連れて、近所の居酒屋へ。
気さくな店主夫婦が、奥の席を案内してくれる。
運ばれてくる美味しい料理と口当たりのいいお酒。
明日が休みだからと、つい飲み過ぎた私。
剛典に手を引かれて自宅マンションへ戻ってきた。
「大丈夫?」
『らいじょうぶ、うわっ。』
足がおぼつかない私は、玄関の段差につまずき背中から転びそうになる。
「A!!」
腕をのばして、間一髪で身体を支えてくれた。
剛典の腕の中にすっぽり納まりながら、ぼんやりと思う。
下から見上げてもいい男だなぁ。
「仕方ないなぁ。」
そうつぶやくと剛典は、私の身体を軽々と抱き上げて歩き出した。
『らくちーん。』
「落ちないように、しっかり捕まっててよ。」
『はーい。』
私をそのままに、リビングのソファーに座る剛典。
なんか、いい香りがする。
くんくん。剛典の首元に鼻を近づけ、匂いを嗅いでみる。
「くすぐったいよ。」
『だって、いい香りがするんだもん。』
「Aもするよ?」
くんくん。同じように、私の首元に鼻を近づけ匂いを嗅いでくる。
首筋に温かく柔らかいものが、ふにっと触れた。
『ぁっ。』
思わず漏れた声。
「ここ弱いの?」
今度は、明らかに意図を持って唇を寄せてきた。
『や…ぁっ、んんっ…。』
くすぐったくて、身を捩って剛典から逃れようとした。
「落ちちゃうから。」
『剛典が止めたら、いいじゃん。』
「むーりー。」
んーっと唇を突き出して、ふざけて迫ってくる剛典。
『やめ、きゃっ。』
私が体を大きく反らした拍子に、ソファーから床に敷いていたラグへと落ちた二人。
465人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:薫 | 作成日時:2016年11月7日 3時