二人の関係２：岩田剛典 (ページ1)

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同居人の彼ページ1

先週の土曜日。

「A。お姉ちゃん、彼と一緒に暮らすことになったから。」

長女の花梨は、幸せそうに部屋を出て行った。

花梨が部屋を出てから、1週間後の土曜日。

「薫ちゃん、私も彼と暮らすことになっちゃって。」

三女の花帆も幸せそうに部屋を出て行った。

『二人とも彼がいるとか、知らなかったし。一人じゃ広すぎるよ、この部屋。』

２人が部屋を出て行ってから１ヶ月後、突然の訪問者･･･。

ピンポーン。インターフォンが鳴る。

モニターを見ると、黒づくめのいかにも怪しい人が立っていた。

誰？！

携帯電話の着信音が鳴り、花梨の名前が表示されている。

≪もしもーし、薫。久しぶり、元気？≫

『お姉ちゃん。久しぶり、元気だよ。どうしたの？』

≪今、家の前に誰かいない？≫

『いる。花梨ちゃんの知り合い？』

≪彼の仕事仲間の人なの。不動産会社の手違いで、引っ越し先へ住めるようになるまで１ヶ月かかるらしいの。≫

『まさかと思うけど、ここに住むとかじゃないよね。』

≪察しが早くて助かる。そういうことだから、よろしく。≫

『そうゆうことって何よ、花梨ちゃん！！』

≪ごめんね、Aちゃん。≫

『花帆？花梨ちゃんと一緒なの？』

≪そこにいる人なんだけど、私の彼の仕事仲間でもあるんだよね。だから、お願いね。≫

『ちょ、ちょっと。お願いって、花帆！！』

言いたいことだけ言って、切られる電話。

『はぁ～、嘘でしょ。』

ピンポーン。再びインターフォンが鳴る。

渋々玄関へと向かい、ドアを開ける。

サッと帽子とサングラスを外して、礼儀正しく挨拶をしてくる男性。

「こんばんは、岩田剛典と申します。突然押しかけて、すみません。」

深々と頭を下げる彼に、慌てて私も自己紹介をした。

『こんばんは、吉井Aと申します。』

顔を上げた彼の人懐っこい笑顔につられて、こちらもつい笑顔になる。

「今日からしばらくお世話になります。よろしくお願いします。」

『こちらこそ、よろしく。さ、どうぞ。』

部屋の中へ入るように促し、リビングのソファーに座らせる。

「あの、Aさんって呼ばせてもらってもいいですか？」

『呼び捨てでいいよ。あと、敬語じゃなくていいから。』

「じゃぁ俺のことは、剛典で。」

「了解。」

こうして、彼との同居生活が始まった。