書きたいところだけ書くネタ短編集２

・ ページ34

『友人帳に妾の名がある限り、夏目殿は凪の影を探してくれるのだろう？
　しかしそれは妾とレイコ殿の約束。孫とはいえ夏目殿には関係のない話でございます
　それに、人探しは長い時がかかる……
　何か礼をせぬと妾の気がすまぬ』


「いや、気にしなくていい
　俺が、やりたいだけなんだ」


『そういう訳には参りませぬ。聞けば友人帳の夏目といって妖物共に命を狙われているとか……
　名を預けたにもかかわらず、レイコ殿は一度も名を呼んではくれなかった
　故にどうか、夏目殿。貴方の行く末を、見守らせてはくれぬか』


「だけど……」


「いいではないか、夏目」


「ニャンコ先生……」




それまでどこか不機嫌そうに話を聞いていた先生が

日輪さんを一瞥すると、俺の肩に飛び乗った

そのまま、もう飽きたというように

欠伸をこぼして日輪さんを見る





「これ程の大妖怪、今後味方につけれるかわからんぞ？
　用心棒も兼用してくれるのだ、味方につけれるものはつけておけ」


「……それ、先生が用心棒サボりたいだけじゃないのか」


「ふふん、もとより私は貴様の死後友人帳を貰い受ける約束だ
　ある程度護りはするが貴様が死ぬまでだということを忘れるな
　それに、貴様が死ぬまでその凪とかいう娘の痕跡を見つけられなければ
　日輪の名が乗ったままの友人帳を貰い受けることができるからな〜！」


「この……インチキ白豚ニャンコめ…」


「だーれがインチキ白豚ニャンコだ！！貴様今すぐ喰ってやろうか！！」





急にとびかかってきた先生のほっぺたを引っ張りまわす

取っ組み合いの喧嘩をしばらくあっけにとられたように見ていた日輪さんだったが

やがて、気が抜けたように笑い始めた





『……ほほ、ほんに、愉快なお二方だ
　では夏目殿、貴方の命果てるその日まで
　どうかよろしく頼む』


「……あぁ、よろしく。日輪さん」

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