・ ページ30
「レイコさんの…！？」
『えぇ、そうですとも。今まで全く名を呼ばぬ者ではありましたが…
そうだ、レイコ殿は御健在か』
「あ、いや……祖母は、レイコさんは既に他界しています
俺はレイコさんの孫で、夏目貴志といいます」
『なんと……そうか、レイコ殿はもう…』
輝いていた青い瞳が、悲しげに揺らめいた
大きな耳と共に、揺らめく瞳が伏せられる
まるで、泣いているかのように
『人の一生とはなんと儚いものか……
終ぞ、妾の名は呼ばれませんでしたね、レイコ殿……』
「名を……？日輪さん、もしかして友人帳に名前が？」
『えぇ…その昔、ある約束を果たす代わりにと』
「約束……？」
「なーつめーーー！！」
日輪さんの言うレイコさんとの約束の話を聞こうとしたとき
林の奥から聞きなれた声が俺の名前を呼んだ
「ニャンコ先生！」
「な〜〜つめ〜〜〜〜〜！！……ってどわぁ！？！？
な、なな夏目離れろ！！その妖とんでもない大物だぞ！！」
『おや、何やら珍妙な獣が』
「誰が珍妙な獣だ！！！」
『ほほ、ご心配召されるな。レイコ殿の孫である御方に危害は加えませぬ』
林から飛び出してきた白饅頭
基、先ほど悪態をついた俺の用心棒、ニャンコ先生
日輪さんを見るなり
毛を逆立てて俺の背中に飛びついた
日輪さんはというと金糸の尾をしならせ優雅に微笑んでいた
「レイコの奴め…こんな大妖怪相手にも名を書かせていたとはとんでもない女だな！」
「大妖怪って……先生、日輪さんのこと知ってるのか？」
「阿呆！お前は本当に妖について何も知らんのだな！
日輪といったか、この狐には尾が九つあるだろう
尾を九つ持つ狐の妖は齢1000を超え、白面金毛九尾の狐と言って、
強大な妖力の持ち主であり、大嶽丸、酒呑童子と並ぶ日本三大妖怪と呼ばれている
中には千里眼や神通力を扱うものもいるという
この世の妖全ての中でもトップに入る強さの大妖怪だ」
「え゛っ……！？！？」
『ほほほ、大げさですよ』
先ほどと変わらずゆらゆらと尻尾を揺らしながら微笑む日輪さん
とんでもない妖怪に勝負を挑んだな、レイコさん…
というか、そのレベルはもう神様と変わらないんじゃないのか…？
先生と二人して顔を青くしていると
日輪さんは伏せていた首を擡げてニャンコ先生のほうを向いた
『しかし…夏目殿の珍妙な連れ殿よ、貴殿とて、名のある妖物なのではないのですか？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 329人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ケト。(プロフ) - ミラさん» おぉ！！聖女のヤツ続き見たいって言ってくれた方初です…！！めっちゃ嬉しいです続き思いつき次第書きますね！コメントありがとうございます！ (5月22日 1時) (
レス) @page46 id: e9bc04e793 (このIDを非表示/違反報告)
ミラ(プロフ) - 聖女Vになります。と奇々怪々明朗弧々の続きが見てみたいです☺️ これからも更新楽しみにしております (5月17日 8時) (レス) id: 9939a275dc (このIDを非表示/違反報告)
ケト。(プロフ) - りんさん» マクロスはFと△よく見ましたねぇ…実は△の小説書いてたけど更新停止しているという……()コメントありがとうございます！ (5月12日 17時) (レス) id: e9bc04e793 (このIDを非表示/違反報告)
りん - ま、まさかマクロス△を知ってたなんて!!いけないボーダーラインが好きでよく見てるので嬉しいです😊べつの、ニア先生の方も見ているので応援してます👍 (5月11日 22時) (レス) id: 58cf79e6c5 (このIDを非表示/違反報告)
ケト。(プロフ) - らむね(名前)さん» ほんっっっっっと地味に人気ですねそのシリーズ！？気が向いたら＆思いつき次第ちょこちょこ更新していきます！コメントありがとうございます！ (2023年2月2日 23時) (レス) id: e9bc04e793 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ケト。
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年4月5日 21時
