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結果は撃沈。
「はい」と言って私の手のひらに置かれたのは猫のストラップだった。
「コアラが良かったな〜」
「猫良くない?コアラ不細工だったし」
「ひどい、それが可愛いんじゃん」
「女子の可愛い基準分かんねぇ」
「まぁコアラ狙って猫取れたの面白いからいいよ」
私のために取ってくれたんだから、本当は猫でもコアラでもなんでも良いんだけど。
……いや待って、射的で取った景品を貰うってそれ、めっちゃお祭りデートじゃん。
そんなつもりじゃないのに、意識し始めるとどんどん顔に熱が集まっていく。
「あれクラスの奴らじゃね?」
「あっほんとだ」
「なんで隠れようとすんの」
「気まずいじゃん」
一緒にいるところを見られたくないのは、これ以上変な噂がたってほしくないから。
注目を浴びるのは好きじゃない、牛沢くんもきっとそうだ。
「なんか、すでに噂になってるらしいし」
「なにが?」
「私と牛沢くんが最近仲良い〜って。くだらない噂話」
「……えー、でも俺は、ちょっと嬉しいかも?」
そう言ってにやっと笑う牛沢くん。
嬉しい……え、噂されてるのが嬉しいってこと…で合ってるよね?
「それってどういう…」
「あ、見て!みんなもう観覧エリアの方向かってね?」
話変えられた…。ま、いっか。
言われて気づいたけど、確かに空は暗くなり始めていて、さっきまで行列していた屋台からも人が少なくなっていた。
「そっか、花火もうすぐなんだね」
「ぽいね。腹減ったし適当に買ってから向かうか」
「うん……でも、早めに行かないと見る場所なくなりそう」
「じゃあ一旦、別行動にしよ。好きなもん買えたらここ戻ってきて」
別行動はダメって、さっき言ったのに。
良く見える場所で花火を見たくて、早めに行かないと、なんて言ったけどそういう意味じゃない。
……まぁいいわ。たしかに二人とも食べたい系統が違いすぎるから、別々の方が早いのは間違いないし。
ラムネとベビーカステラを買い終えてさっきの場所に戻ってみるも、牛沢くんはまだ来ていなかった。
どんどん人が流れていく。早くしないと、綺麗に花火見れなくなっちゃうなぁ。
「ごめん、お待たせ」
「ほんと遅いよ………て、えっ?」
急に私の手首を掴んで歩き出す牛沢くん。
明らかに観覧エリアとは逆の方向だし、なにこれ、どこに連れてかれるわけ?
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ゃゅ(プロフ) - いちご丸さん» ありがとうございますめっちゃ嬉しいです!頑張ります!(^-^) (9月15日 1時) (レス) id: fbf309b419 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - めっちゃ好きです!頑張ってください (9月14日 21時) (レス) @page1 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゃゅ | 作成日時:2023年8月30日 0時