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プレオープンは無事終わり、それから牛沢くんとは特に何もなくまたまた目で追うだけの生活が始まった。
キヨがうちの常連だったことにはかなりびっくりしたけど、理由は大体見当がつく。
自分がキヨにちょっと気に入られてるのではないかという疑問は日に日に鮮明になっていた。
でも気づいてないフリをしてしまったのは単に恥ずかしかったからというのもあるけど、ちょっと、ほんのちょっとだけ牛沢くんの存在が頭をよぎったというのもある。
「今年は7日らしいよー!Aは誰と行くの!」
ぼーっとしている私に姫鳴が話しかけて来た。
毎年恒例、隣町で行われる花火大会のことだ。
来週から夏休みで、クラスのみんなはすでに浮かれている。
「姫鳴しか行く相手いないよ」
「ダメだね〜、そこは牛沢くんって言うところでしょ〜」
「は、!?なんで牛沢くんが出てくるの」
「クラスで噂になってるよ〜仲良いんでしょ?なんで私に言ってくれないの〜!」
「仲良いとかそんなんじゃ…」
「私は嬉しいよ!友達できて楽しそうなAを見れて」
私の友達づくりのきっかけは姫鳴だった。
だからこんな風に言われるのは成功してるってわけで、喜んでる姿に水を差すようなことは言えるわけがない。
私もそろそろしっかりしないとね。
「牛沢くんと行く」
「え」
「花火大会、誘う」
「え、え、ええええ!!ほんとに!?」
「うん」
「Aもしかして、好きなの?え、どうしよ楽しい!!」
「好きとかではない!」
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部活が終わり、駐輪場に向かう。
スマホを見ると気になる通知が一つ。
Aちゃんとのトーク画面には、"7日の花火見に行こう"という文章が送られていた。
二人でって意味…だよな。さすがに。
いいんですか俺で。え、誰かと間違ってない?
「うっしー何見てるんー?」
「はっ、あ、何でもねぇよ!」
「ははーん、その慌てようは湊川さんやな〜」
急にスマホを覗き込んできては、にやりと笑うレトルト。
俺は図星以外の何者でもなく、ただただ黙り込んでしまう。
「あんな可愛い子と仲良いの羨ましいわ俺にも紹介して」
「絶っっ対嫌」
「うーわ独り占めする気や」
やっぱり誰から見ても可愛いよな。
なのになぜかそんな子が俺と仲良くしてくれて、祭りまで誘ってくれてるんだよなー……
変に自惚れるのも良くない、けどちょっとだけなら期待してもいい…だろ。
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ゃゅ(プロフ) - いちご丸さん» ありがとうございますめっちゃ嬉しいです!頑張ります!(^-^) (9月15日 1時) (レス) id: fbf309b419 (このIDを非表示/違反報告)
いちご丸 - めっちゃ好きです!頑張ってください (9月14日 21時) (レス) @page1 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゃゅ | 作成日時:2023年8月30日 0時