真夏の真下で君と。 (ページ3)

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「浮所！悪いけど俺用事あるから先に帰っとくわ！」

「おー、分かった分かった。またな。」

いつぶりかは分からない1人だけでの下校に少し憂鬱な気分になる。

今日は部活もオフで家に帰っても特にやる事は無い。

道端で通りがかったコンビニエンスストアの袋を片手に近所の公園のベンチに腰掛けた。

子供たちのはしゃぎ喚く声を遠目に聞きながらソーダ味のアイス棒を舐めると、体に篭っていた熱が抜けて行く感覚がした。

昔からよくお母さんが買ってくれていたアイスな事もあって、懐かしいような気持ちになる。

まもなく棒だけになった時に、若い男女のカップルがすぐ隣に座ってきた。俺が座っているのを気付いていないのだろうか。

別れたばかりの男にとっては耐え難い光景で、仕方なくベンチから離れた。

公園の中心にある大きな池を通りがかり、濁った水にしゃがめば、ゆらゆらと歪む自分の顔が浮かび上がる。

「何だよその顔。一気に老けた？」

ムカついて石をボトンと池に落とす。

すると、向こうからもドボンと、何かが落ちるような音が聞こえてきた。

顔を上げてから俺はその光景に顔が固まった。

小さい男の子が溺れている。

ボールが浮かんでいるのできっと拾いにいこうとした時に誤って落ちてしまったんだろう。

ここは池だからといって安心できる深さではない。去年にも1人の児童が溺死した事故が起きていたからだ。

柵が立っているはずなのにどうして入れたのか。

そんな事はさておき、俺は急いで溺れている男の子の元へ走った。

集まっている人だかりを掻き分けて、濁った池に飛び込む。

独特な匂いが鼻を抜けて行く。

それに制服なだけあって体がとても重い。

「うぱぁっ、たすげで！！！たすけてよぅ！！」

残り5mの所で男の子の顔が水に沈み溺れていくのが見えた。

「今助けるからなっ！！」

俺は咄嗟に男の子の腕を掴み、抱き抱えて池の外へ上がった。

「雄也！！！」

人だかりから叫び声を上げて1人の男子生徒が飛び出してきた。