11.近づく距離 ページ11
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振り返ると、ちょっとこっち、と仕草をされて、
とりあえず階段を下りてその人の前に行く。
『ずーっと思ってたんだけど、』
─あんな座り方したらパンツ丸見えだよ
息だけで囁かれた。
ぱ、ぱ、ぱ…!!
見えてたの!?!
ぼんと顔だけじゃなく首筋まで赤くなってくるのを感じる。
「な、なんなんですか!?!急に!!」
なにもされないくらいの安全距離まで飛び離れる。
『嘘、嘘。ギリ見えてなかった』
気を付けなよ、女子高生なんだから、と言って片づけを始めた。
そろりとまた前に行く。
そして片づけをしているのを訳もなく見守る。
この状況、謎…。
「あのぉ〜」
『んー』
顔を上げずに黙々と片付けている。
言葉を選ぶように結局こう尋ねる。
「いつもここで歌ってるんですか?」
『まあ、いつもってわけじゃないけど』
「…そう、ですか」
そっかぁ。
…いつもいるわけじゃないんだ。
またこの歌声聴けるかな、なんて想いは心の箱にしまっておく。
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Mare(プロフ) - とても心に残るようなお話で、とても面白かったです。更新停止されている様ですが、続きが気になってしまい、感想を書かせていただきました。無理なさらず、がんばってください! (2018年8月25日 23時) (レス) id: 4b7fd3f8d2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぽ。 | 作成日時:2018年3月7日 18時