8〜過去篇〜 ページ8
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懐かしい名を呼んでくれた風間はその後、自分の妻だと言う女性を紹介してくれた
風間と似た、柔らかい雰囲気を持つ穏やかな女性だ
起き上がって笑い合う俺達を見て嬉しそうな顔をした彼女は、俺の傷の具合を一頻り診た後、腰に手を当てて頬を膨らませた
「身体中が傷だらけだからびっくりしたわ！
もっと自分を大事にしなさい、まったく」
「すみません…」
「それから、ちゃんとバランスの良い食事をする事！
相葉くん、あなた痩せすぎよ！私より軽いなんて許さないから！」
「はい…」
本名で呼ばれ、頭上から小言を受けるなんて、何十年振りだろう
もう顔すら思い出せない母の面影と彼女が重なり合い、自然と頬が緩んだ
なんて……温かい
それからも小言を言っていた彼女は、怒られながらも嬉しそうに笑う俺を見てため息を吐き、慈愛に満ちた表情で微笑んだ
髪をくしゃくしゃと撫でられながら笑う俺を見て、彼女の後ろの風間も笑った
顔が隠れるような大きな帽子を深く被り、黒のロングコートを翻しながらメインストリートを俯いて歩く
英字新聞の隅に載った自身の手配記事を眺めながら、周りの気配を充分探り、家へと入った
俺が血痕を残して失踪してから幾月か巡り、"死神"は死んだのでは無いかと風の噂が立つようになった
傷が癒えた今も、俺は風間の家に厄介になっている
"死神"としてではなく、一人の人間である"相葉雅紀"として家族のように接してくれる彼らから、罪な事だと分かっていながらも、どうしても離れる事が出来なかった
「ただいま」
そう中に声をかければ、奥からパタパタと音を立てて夫人が駆け寄ってきた
俺が外に出る事に微かな危惧を常に持ってくれる彼女は、俺が帰ってくると直ぐに姿を確かめに来る
ソファにいた風間が、その光景に苦笑いをしながら俺を出迎えた
「おかえり雅紀、寒かったでしょ？
温かいもの淹れるから、座ってなさい」
「ありがとう」
コートをハンガーに掛けながら椅子に腰を下ろす
漂ってくる香りは、この数ヶ月でだいぶ慣れてしまった家族の温もりの香りがした
その香りに身を委ねて瞼を閉じていたが、彼女が放った一言が脳を一気に覚醒させた
「そういえば、さっきあなた宛に手紙が来てたわよ」
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crow - Finalの相葉ちゃんに大興奮！！ 色々な名言が生まれたイイお話でした。 (11月21日 0時) (
レス) @page17 id: 437ea3d9a6 (このIDを非表示/違反報告)
crow - Finalの相葉ちゃんに大興奮 (2023年4月24日 0時) (レス) @page18 id: 437ea3d9a6 (このIDを非表示/違反報告)
エリン(プロフ) - ちぇろさん» ちぇろ様、コメントありがとうございます！一気に読んでいただいたと言う事で、感激です…！番外編の方もどうぞ宜しくお願い致します。 (2021年3月6日 22時) (レス) id: befc5e26fa (このIDを非表示/違反報告)
エリン(プロフ) - 櫻宮さん» 櫻宮様、ここまでお付き合い下さりありがとうございました！櫻宮様のコメントに何度励まされた事か…！ありがとうございました！ (2021年3月6日 22時) (レス) id: befc5e26fa (このIDを非表示/違反報告)
ちぇろ(プロフ) - おすすめに出てきたことをきっかけに読ませていただきました。ここまで一気に読み切り、楽しませていただきました。ありがとうございます。大好きです！番外編も楽しみに読ませていただきます。 (2021年3月3日 17時) (レス) id: 84d56b057b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エリン | 作成日時：2020年9月19日 11時
