シンデレラリング ページ30
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突如幸運を手にした人を、人は「シンデレラ」と呼ぶ。
じゃあ、突如不幸のどん底に突き落とされて、それでも這い上がってきた人は？
それは、ただまぎれもなくその人自身でしかない。魔法使いに頼ってない。家族の言いなりになってない。
お父さんは、私と清川が二人で涼星のお墓参りに行ったことを知ってから、何も言わなくなった。怪訝な表情もやめた。
シンデレラみたいに、王子様が絶対に死なないならよかったのにね。だって死んだら、話変わるでしょう？
あなたみたいにハッピーエンドを確実に迎えられる能力は持ってないけど、自分でハッピーエンドに出来る力を持ってる。幸せなんて別に、急に舞い込んできてもらわなくてもいい。私はシンデレラと違って、家族と友だちと王子様に恵まれたからね。
「三島さんおはよー」
「おはよう」
「おはよ」
「おはよう、蛍ちゃん」
朝、蛍ちゃんは私と反対側にある靴箱の扉を開けて、そのまま私の顔を覗き込んできた。
「ん？」
「清川君、まだ怒ってた？」
「……ああー、大丈夫だよ。もう忘れてると思う」
心配そうな表情が苦笑に変わった時、タイミングがいいのか悪いのか清川が靴箱にやってきた。
噂をすればご本人の登場で、私も蛍ちゃんもただじっとすのこに上履きを放り投げる清川の顔を凝視していた。
「……ん？何？」
結局こっちを向くまで気が付かなかったようで、私たち二人を見て首を傾げた。
「蛍ちゃん、清川の態度が悪いからずっと心配してるよ」
「は？俺は悪くねーだろ。てか、いつまで引きずってんの？Aがいいなら別にいいよ。土田とこれからそんな関わることもないし」
……ぜんっぜん忘れてない上に態度悪っ……。
引きずってんのはどっちよ！と突っ込みたくなる。
全くどうしたものかと頭を抱えてきたら、
「なに固まってんの？」
と救世主フジが声をかけてきてくれた。
「清川が意地張ってるから関係が修復しないの」
「あー……こいつは結構ねちっこいしいつまでも愚痴るぞ。時間薬しかないだろ」
と、助け舟を出してくれるはずがもはや清川の側についたような言い草だ。さすが親友なだけある。
「フジ！何か言い方悪くね！？俺性格悪いみたい……まあ良くはないか」
私の王子様は、子どもっぽいしそれなりに性格も悪いけど、ちゃんと中身も見てくれる人。
蛍ちゃんが遠慮気味に笑うと、まんざらでもなさそうに清川はフジと二人でさっさと階段をあがっていってしまった。
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煎茶(プロフ) - lucoさん» とんでもない、毎度とても元気を貰っていて精神安定剤のような存在ですよ。笑 次作は少し物騒ですが、luco様に気に入っていただけると嬉しいです！ (2018年9月2日 22時) (
レス) id: ea34eab2cb (このIDを非表示/違反報告)
煎茶(プロフ) - トウセさん» トウセ様初めまして、最後までお読みいただきありがとうございました！コメントとっても嬉しいです。短編集で書かせていただきますので、良かったらまた覗いてやってくださいませ！ (2018年9月2日 22時) (レス) id: ea34eab2cb (このIDを非表示/違反報告)
luco(プロフ) - どこにでも顔を出す読者ですみません...！完結おめでとうございます！！学生らしいkyさんに固まってた心を綺麗に溶かしてくれる...そんなは素敵な長編に心が温まりました。次作も楽しみにしてます。 (2018年9月2日 20時) (レス) id: 2a3978e9c4 (このIDを非表示/違反報告)
トウセ(プロフ) - 今までご更新お疲れ様でした！番外編も楽しみにしてます！！！ (2018年9月2日 18時) (レス) id: 46e623b35e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：煎茶 | 作成日時：2018年8月15日 22時
