【gnsn】ふわふわまくら (ページ3)

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拝啓、愛しい人◈タルタリヤページ3

『拝啓、愛しい人』

オレンジ髪の悪役は筆を走らせる。

かつて相棒と称した人へ。

今は届かない存在になってしまった人へ。

『君は俺の手に入らない所まで行ってしまったようだ。とても残念だよ。』

悪役は嘘を紡ぐのは得意だが真実を明かすのは苦手である。

伝えても信じて貰えないのだから。

我慢しなくて良いのならずっと一緒に戦っていたかった。
我儘を言えばずっと一緒に旅をしたかった。

あんなに世界が鮮やかに見えたのはいつぶりだろう。

『またいつか会えたのなら今度は』

ここまで書いて悪役は筆を止めた。

「はぁ」

一息ため息を吐き捨て一文を消す。

『もう俺たちは会えないかもしれない』

1文字1文字噛み締めて。ここまで来てしまったらもう後戻りはできない。

あとは俺の相棒に解釈を託すのみ。

「…あれはちゃんと届いたのかな？」

「今頃、お読みになっているかと」

悪役は寂しくどうしようもない笑みを浮かべる。

「さあ、どうだったかな」

かつて光を失った瞳は微かに揺れていた。

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短め＆幻覚強め、後戻りができないタルでした。敬具。