続 ページ2
「ディルックさんってほんとに気品溢れるというか紳士というか、何事もスタイリッシュにこなしますよね」
「僕？…そう言ってくれて嬉しいよ」
心做しかディルックさんの口角が上がったようにみえた。可愛いところもあるんだなぁとこちらまで少し笑顔になる。
「…Aもいつも優しくて色々なことを気遣えて、素敵な女性だと思う。なんというか…君に助けられることが多い。いつも感謝している」
「えっ、急に褒めすぎですよ！」
急にディルックさんからのお褒めの言葉が飛び出し驚いてしまう。
あのあまり他人に口出ししないディルックさんに褒められるとか…人生何があるか分からないな…
と、頬を緩めていると
「よぉA、何やら楽しそうな話をしてるじゃないか」
後ろから声がかかった。
振り向けばそこには先程まで私が眺めていたガイアさんがこちらへ来ていた。
「これはこれは、人気者のガイアさんじゃないですか」
そう少し素っ気なく返事をする。
「おっと、もしかして構って貰えなくて寂しかったか？」
「んなわけないじゃないですか」
口先ではそんなことばかり言ってしまうが、本心がバレたら何を言われるかわかったものではない。絶対にからかわれる。
「俺にも蒲公英酒を頼むよ旦那様」
「はぁ、少々飲みすぎではないか？」
「まあまあ、いいじゃないか」
そう言いながら私の隣の席に座り、肩に腕を乗せてくる。反対側には壁があるため必然的に逃げ場を無くしてしまった。
「ガイアさん、腕、重い」
「これは失礼。まあ退けないけどな」
そう適当に返事するガイアさんに呆れつつ、ディルックさんからアップルサイダーを貰う。
なぜだかディルックさんは眉間に皺を寄せている。
「それで？Aと旦那はイチャついてたのか？」
「ガイア…いい加減にしないか」
「なんでそうなるんですか」
そう2人でガイアさんを睨みつける。
「だってな……いや、なんでもない」
少しガイアさんが顔を悲しげにしたような気がしたが次の一瞬にはいつもの飄々としたガイアさんの顔に戻っていた。
「………ムカつくじゃないか」
「え？なんて…？」
「…いいや、なんでもない。さあ、旦那の素晴らしいアップルサイダーを堪能するといい」
「は、はい」
そう言われ、アップルサイダーを口につける。
その時、人知れずガイアさんがしょぼくれ顔を見せていたのを私は知る由もなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：たろ | 作成日時：2022年9月22日 20時
