余裕がない騎兵隊長◈ガイア ページ19
エンジェルズシェアの店内は相変わらず賑やかだ。
いつもと変わらないこの風景がとても居心地がよい。
「チャールズ、今日のおすすめ頂戴〜」
「あいよー」
今日も今日とて仕事で疲れた体にアルコールを入れるため私お酒を注文する。
「よぉ、まぁたひとり酒か?」
後ろから声をかけられ、背中に手を回される。
声がする方向を向けばそこにはガイアがいた。
ガイアはよくこのエンジェルズシェアに現れる騎士団の騎兵隊長…らしい。
騎兵隊長なのにこんな酒場によく現れていいものなのか…
いや、モンドが平和ってことなのか…?
ある日偶然同席になって話を交わしていたら意気投合し、エンジェルズシェアで姿を見かけたら話しかけに行くような関係になった。
「相変わらずガイアってすごい良い声してるね」
「なんだ?告白か?」
「ばーか違うよ」
今では騎兵隊長だということを忘れ、冗談を交わせるような仲になっている。
「チャールズ、俺にも同じやつ」
「あいよー」
チャールズはいつもの手際でお酒を作ってくれる。
「そういえば俺とA、知り合って結構経つけどお前の仕事のこと何も知らないな」
「え、知りたいの〜?」
「いや、俺の職業は知られてて、お前のを知らないってのは少々不平等ってもんじゃないか?」
「一応喫茶店で働いてますよ」
「ほお?お前ウェイトレスだったのか?」
「キッチンもホールもどっちも出来ます」
そう言って片手でガッツポーズを作る。
「モンドの喫茶店といえば2箇所あるが…どっちで働いてるんだ?」
「え、それも教える…?」
「あぁ、ぜひ教えてくれ」
ガイアはにこにこしながら聞いてくる。
営業スマイルなのはわかっているのだが何せこの男、面が良いのだ。
本当に私好みの綺麗な顔をしている。
しかもこの男、嘘みたいに性格や声も私のタイプなのだ。
「…モンド城に近い、角のお店。」
「あぁ、あそこか!騎士団本部からも近い、今度遊びに行くとするか」
「やめてよ、気が散ります」
「俺が居ると気を散るのか?」
「ま、まあ」
「なんで?」
珍しく真剣な声で聞いてくるガイア。
ここで素直にお前の顔面が良いからだよ、好きだからだよ、と言える勇気はない。
しかも私の職場の人の性格的に「恋人か?」「ついにAに春がきたか!?」とはやし立てられるに違いない…
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作者名:たろ | 作成日時:2022年9月22日 20時