看病と温もり◈タルタリヤ ページ15
「おーい、げんきですかー?」
「これが元気に見えますか…?」
「見えないね」
だるい体を持ち上げて、
勝手に家に入ってきた上司、もとい恋人であるタルタリヤに適当に返事をする。
「なんか食べれそうなもの買ってきたよ」
「たすかる」
「なーんでこんなんになるまで無理しちゃったのかなぁ」
「無理してないです、気づいたら勝手に熱が出てたんです」
「それを無理してたっていうんだよ…キッチン借りるね」
そう言ってタルタリヤは奥の方に消えていく。
少しだけそばにいてほしかったなぁなんて思いが過ったが、
そんな甘えてられないなというプライドから絶対にあいつには言わないと言葉を飲んだ。
でも体が弱ってるときはどうやら心も一緒に弱っていってしまうようで
「おまたせ、って…あらら」
気持ちを表に出したくなくても、泣きたくなくても、
勝手に涙があふれてきてしまった。
「どーしたのー?そんなになっちゃってー」
そんな私を愛おしそうに見つめ、甘ったるい声で話しかけてくるタルタリヤ。
「…みないで」
「んーいやだ、かわいい俺の子が悲しんでるのにほったらせないよ」
「別に、かなしくない」
「んーじゃ、寂しかった?」
探られたくないのに、分かってほしい。
そんなめんどくさい感情がグルグルと頭の中で渦巻く。
「なにしてほしい?ぎゅってしようか?それともとんとんしてほしい?」
「...なにもしないで」
「りょーかい、じゃ―ずっとそばにいるね」
冷たく言ってしまったのにタルタリヤは笑って私の横に腰を下ろす。
「Aは頑張り屋さんだよね、えらいね」
「無理してても気づかないくらい頑張ってるんだね」
「いつでも休んでいいんだからね、今日は特にゆっくり休んで」
「俺はいつでもそばにいるからね、寂しくさせないよ」
私をすべて受け入れてくれる言葉が降り注ぐ。
今度は別の感情で涙がこみあげてくる。
「ありがとう、タルタリヤ」
「うん、ゆっくり寝てね。次、目が覚めたらおかゆ食べようね」
あたたかなぬくもりの中で私は瞼を閉じた。
84人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たろ | 作成日時:2022年9月22日 20時