僕の後輩は鬱陶しい【kwmr】 (ページ21)

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ミッションは完璧にページ21

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　田中さんに案内されて来た会議室。
　そこには既に数名の社員の方が集まっていて、先輩に倣うように、ペコリペコリと丁寧に頭を下げる。

　打ち合わせって、結構ピンと糸が張ったような空間なんだな。
　もしかしたら慣れている先輩からすれば「比較的緩い空間」なのかもしれないけれど、私にとっては面接と同じくらいの緊張感。
　ヘマをやらかさないことに必死で、纏まった企画の説明は殆ど先輩が行ってくれていた。

「このPR動画については、僕に代わって立華の方から説明させていただきます。…………おい、立華」
「へ、あ、はい！立華です！」
「自己紹介は良いから、ほら。纏めたやつ出して」
「まとめ……？…………あー！はい！ただいま！」
「すみません。まだ彼女、新人なもので」

　じっと先輩の真剣な横顔を見ながら自分の出番を待っていると、今がまさにその時だった。
　急いで持っていたタブレットを操作し、開いた動画が社員の方々に見えるよう、机に立てる。そしてその動画を時折り止めながら、私は相手に現時点で決まっていることを事細かに説明した。

　喋るのは昔から得意だ。
　その特技が生かされて学生の頃は色んな場面で司会を務めたし、放送委員にも抜擢された。

　だから今回も、しっかりと説明出来ている、はず。
　少なくとも相手の顔色を見る限り、伝わっていないことは無さそうだった―――。

「良かったぁ……なんとかやりきれた…… 」

　建物を出てから漸く息を吐くことが許されて、バクバクと大きな音を立てる心臓をぎゅっと押さえる。
　外は行きよりも曇っていたが、それでも、まだまだ夏の暑さは残ったままだった。

　先を行っていた先輩が、徐に背後を振り返る。
　そして私を見下ろすと、彼はまるで先を言うことを勿体ぶるように、引き結んでいた口をゆっくりと開いた。

　……個人的な感想ではあるけど、今回、私は結構上手くやれていた方だと思っていた。
　言葉に詰まることもなかったし、質問にもしっかりと答えられたし、大きな失敗と言うような失敗は、無かったように思う。

　だからその先の言葉は、てっきりぶっきらぼうな褒め言葉だと、幸せな頭の私は思い込んでいて。

「 ―――……ねぇ、立華。半端な気持ちなら今度から二度と俺に着いてこないで」

　彼にそう言われたとき、一瞬、私はなんて言われたのか噛み砕くことが出来なかった。

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