検索窓
今日:3 hit、昨日:6 hit、合計:65,321 hit

▼.てのひらひとつで / デュース ページ1

男だと思っていた監督生か、自分は女だと口にしたのはつい先日のことだ。

その言葉で、彼女に抱いていた違和感のようなものの正体を知った。


当然だ。


男にしては華奢な体、少し高い声。そんなもの本当に男かと疑っても仕方がない、と思う。

だが、生徒の中にはローズハート寮長のように華奢な体駆の生徒は多くはないが少なからずいる。
それに、ポムフィオーレ寮の生徒たちと比べても、監督生はそこまで華やかな顔立ちではない。

だから、監督生が女であるとは、疑ったとて思えなかったのだ。だってここは男子校なのだから。



しかし女とわかってみたところでどうだ、自分達と彼女の関係は変わったか。
きっと何ら変わりはしない。監督生は今日もグリムに振り回され、エースにからかわれ、課題に頭を悩まされている。






監督生を探しているというエースと別れたあと、思い当たる節があって図書館に向かえば監督生の姿を見つけ、ため息をつく。
あいつはどこを探したのか、それとも目が節穴なのか。


監督生はこちらに背を向けて椅子に座り、何かを読んでいるようだった。
机の上には何冊か分厚い本が積んである。


知らないことが多いから、最近は図書館で本を借りて読んでいると、いつだったか監督生は言っていた。


確かに、監督生はちょっとおかしいくらい何も知らない。

自分達が食べている卵からひよこが生まれないことは知っている癖に、マジフトすら知らないのだから、何を見て育ってきたのか甚だ不思議だ。


監督生、と少し声を小さくして話しかける。
しかし余程集中しているのか、声どころか、背後に立たれたことにも恐らく監督生は気づいていない。

これ以上声を大きくするのも憚られて、そっと彼女の肩に触れる。


そうして、僕は思わず息を呑んだ。


触れた肩の薄さ、伝わる骨格が如何に華奢か、それを脳が途端に理解する。

僕はそれを知らない、彼女のそれは、自分やエースのとは明らかに違っていた。

-→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (129 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
160人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

硝子屋(プロフ) - 食パンさん» リクエストありがとうございます。ゆっくり更新になるとは思いますが、気長にお待ちくださると幸いです。 (7月11日 23時) (レス) id: bfedb6e9a1 (このIDを非表示/違反報告)
食パン(プロフ) - あのぉ趣味でやってるなら申し訳ないのですが厚かましいお願いです。レズで元の世界に彼女もちの監督生夢主と、本気で夢主を墜とすつもりでいるルクハンをお願いしたいです!※夢主は彼女から離れるつもりはないあと夢主は女の子。これからもほどほどに頑張ってください (7月10日 18時) (レス) id: 1be4b3aa35 (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - ハイドさん» 返信遅くなって大変申し訳ありません……!リクありがとうございます、承りました!ただ、私情によりこれから先更新できる頻度が少なくなってしまいますので、気長にお待ちくださると幸いです……。 (2021年2月2日 20時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)
ハイド - 初めまして!リクエスト良いですか?キャラに盛る毒を夢主が奪って飲み込んだらをお願いします!キャラはフロイドでお願いします! (2021年1月31日 11時) (レス) id: 76fb91e4e9 (このIDを非表示/違反報告)
硝子屋(プロフ) - ソーダさん» ありがとうございます〜〜!そう言っていただけるのが何より嬉しいです……! (2020年12月24日 18時) (レス) id: c0a77834dc (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:硝子屋 | 作者ホームページ:   
作成日時:2020年3月2日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。