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歩き旅 ページ43

***


蝶屋敷までは、歩いてだいぶかかる。
人力車でも呼ぼうかと思ったが、A殿はそれを制して、歩かせてくださいませ、と言うものだから。
言い出したら聞かない性質なのだろう、俺は諦めて、彼女の歩幅に合わせて歩く。
途中で数度休憩を挟んだが、まずまずの時間で蝶屋敷に到着した。

「つ、疲れました」

「なかなか健脚で驚いた」

「そう、言っていただけて、よかった、ですわ」

息を整えながら、彼女は胸のあたりを押さえている。
そして俺がちょっとだけ面白がってしまったのを察したのか、きっ、とこちらを見て、笑わないでくださいませ、と口を尖らせた。
すまん、とすなおに謝り、蝶屋敷の奥に声をかける。
ぱたぱた、と胡蝶が走ってきたかと思うと、勢いよくA殿に抱き着いた。

「Aさん、ご無事でよかった!」

そしてA殿の両手をとって、「怪我はありませんか?冨岡さんにひどいことはされていませんか?」などと言う。

「おい、胡蝶―――」

「まさか歩かせたんじゃないでしょうね?駅から、ちゃんと人力車呼びましたよね?」

「いや、それは、」

「あああの、しのぶさん、」

慌てた様子のA殿が遮って、自分がどうしても歩きたいと申し出たのだと説明する。

「その、わたくしも、…お役に立てるよう、皆さまと働かせていただきたくて。
 だからとりあえずこんな小娘でも、歩くことくらい、全然へいちゃらだとお見せしたかったの」

胡蝶は納得いかない様子で俺のほうを見ていたが、A殿の言葉を聞いて、やや呆れたようにため息をついた。

「そういうことなら。でも、無茶はダメですよ。
 まずは、もろもろ怪我がないか調べさせていただけますか?
 ―――誰か、奥のお部屋にお通しして」

奥から蝶屋敷の見習いと思しき女の子が一人出てきて、A殿の袖を引いた。

「Aさん、事情についてはあとでお伺いしますから、ちょっとだけ待っててもらえますか?」

「は、はい」

「冨岡さんはちょっと来てください」

この魔女、声色を完璧に使い分けている。


***

胡蝶しのぶによる尋問→←善処する



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瑞姫(プロフ) - 今吐露2でリアルに泣いております、、思わずよくわからない報告コメント申し訳ないですめちゃくちゃ好きですこの作品 (2020年6月24日 23時) (レス) id: 445b4986a2 (このIDを非表示/違反報告)
pink0223xxx(プロフ) - はじめまして、更新お疲れ様です。素敵な言葉遣いや雰囲気が想像がしやすくてどんどん引き込まれていきました。泣いたり笑ったり楽しかったです。応援してます! (2020年6月3日 21時) (レス) id: 086d84223c (このIDを非表示/違反報告)
おんたま(プロフ) - はじめまして。更新お疲れさまです。完成度が高くすごく素敵な作品だと思います。無理のない範囲で更新頑張ってください。応援しています。 (2020年6月3日 2時) (レス) id: 8f0607afea (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - お返事できてないお三方、コメント返信できてなくてすみません、いつも更新遅くてすみません、読んでくれてありがとうございますloveです (2020年6月2日 19時) (レス) id: 100d291aa9 (このIDを非表示/違反報告)
madoka(プロフ) - 更新お疲れ様です!ずっと待ってました〜っ!!これからも頑張ってください。 (2020年5月24日 21時) (レス) id: f3e815359c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:イトカワ | 作成日時:2020年4月19日 22時

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