屋敷の主人 -1 ページ8
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翌朝、珍しい人からの文が届く。
胡蝶しのぶだ。
俺が、決められた地域の警邏をしばらくさぼっているようだから仕方なく自分がかわりに回ったという、恨み言と嫌味の文だった。
つくづく面倒見のよい後輩だなと思う。
文の最後には、
「最近、階級の低い隊士が藤の家紋の家に迷惑をかけるふるまいが目に付く。
もし今藤の家に滞在しているようなら、そのようなことがないよう、
柱としてきちんと指導にあたられたし。」とあった。
おそらく、警邏の最中に何かあったのだろう、苛立ちの伝わってくる筆跡だった。
***
滞在して三日目、好きに使ってよいと言われている道場でいつも通りの鍛錬を行っていると、もし、と声をかけられる。
『冨岡様、両親が戻りまして。
もしよろしければ、ご挨拶をと申しておりますが、
いかがでしょうか。』
俺は頷いて、汗を拭いて着替えるために道場の入り口の戸に近寄ると、そのあたりに膝をついていたA殿が慌てて小袖で顔を隠した。
「……ああ、すまない。」
俺は自分が上半身をはだけて刀を振っていたことを思い出し、さっと袖を通す。
「汗を拭いて着替えてから母屋へ戻るので、そうお伝え願えるか。」
『は、はい。承知いたしました。』
A殿は耳まで赤くして、小声で答えると、さっと戸を閉めて母屋のほうへ駆けていった。
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瑞姫(プロフ) - 今吐露2でリアルに泣いております、、思わずよくわからない報告コメント申し訳ないですめちゃくちゃ好きですこの作品 (2020年6月24日 23時) (レス) id: 445b4986a2 (このIDを非表示/違反報告)
pink0223xxx(プロフ) - はじめまして、更新お疲れ様です。素敵な言葉遣いや雰囲気が想像がしやすくてどんどん引き込まれていきました。泣いたり笑ったり楽しかったです。応援してます! (2020年6月3日 21時) (レス) id: 086d84223c (このIDを非表示/違反報告)
おんたま(プロフ) - はじめまして。更新お疲れさまです。完成度が高くすごく素敵な作品だと思います。無理のない範囲で更新頑張ってください。応援しています。 (2020年6月3日 2時) (レス) id: 8f0607afea (このIDを非表示/違反報告)
イトカワ(プロフ) - お返事できてないお三方、コメント返信できてなくてすみません、いつも更新遅くてすみません、読んでくれてありがとうございますloveです (2020年6月2日 19時) (レス) id: 100d291aa9 (このIDを非表示/違反報告)
madoka(プロフ) - 更新お疲れ様です!ずっと待ってました〜っ!!これからも頑張ってください。 (2020年5月24日 21時) (レス) id: f3e815359c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:イトカワ | 作成日時:2020年4月19日 22時