［完］黒死牟邸に居候してます (ページ38)

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余計なお世話ページ38

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『あーかーざーさーん！！！』

私は猗窩座邸の前で門を開けてもらうべく大声を出している。
中にいるのはなんとなくわかる。
たぶん、何度か一体化したからだと思うけど、近くにいるとどんな感情を抱いているかとか、たまになんとなく伝わってくることがあるのだ。

ちなみに今は、私があまりにしつこくてうるさくてブチギレ寸前だ。
あと3秒くらいで開けてくれると思う。3、2、1、

「うるせえ！！！帰れゴミ！！！」

『ほらね。』

まあまあ、と私は猗窩座さんを宥め、座敷へ上がらせてもらうと、背中に背負っている風呂敷を、半身捻って見せた。

『玉壺さんからお届けものでーす。』

「はあ？なぜ玉壺から…それになぜA草がそんなもの出前してるんだ。」

『忘れちゃったんですか？入れ替わりの血戦で負けちゃった方は、お詫びの品を一つ渡す決まりじゃないですか。』

私はそう言って風呂敷包みをほどき、それを手渡した。
玉壺渾身の悪趣味アートだ。ここまでブスしか書かれてない美人画もなかなかない。
全員目が離れすぎている。

「うん……お前にやるよ。」

『5回、あなたのこと好きにしていいならもらってあげてもいいですけど……』

「断る。」

『じゃあ、はい。これ、寝室にどうぞって言ってました。
なんか色々言ってたうんちくは全部聞き流しちゃったけど…。』

「なぜこんな醜女の絵を寝室に飾らなきゃならん！」

『玉壺さんなりに心配してくれているのでは？猗窩座さんが女を知らなさそうだから…なんかこう、夜毎悶々としているんじゃないかと。』

いや、悶々としてないし女知ってるしブス専じゃないし恐ろしいほどに余計なお世話だな！と猗窩座さんは吠えた。

『アハハ、そんなこと見栄張らなくていいのに！大丈夫大丈夫！誰も笑ったりしないですよ！たとえ鬼になってなお童てーーー』

すごい勢いで猗窩座さんが立ち上がったと思ったら、およ、という間に、私は両腕を掴まれて組み敷かれてしまった。

「試してみるか？」

私はちょっと考えて答える。

『……いいですけど。猗窩座さん、そうすると私に黒死牟さんと比べられちゃいますけど、そういうのは平気ですか？』

げっ、という顔をして、猗窩座さんは私の上から退く。

「お前……、今の本当か？」

『んなわけないじゃん。』

猗窩座さんは、深く深くため息をついてうなだれ、もう一度玉壺のブス掛け軸を広げて眺めるなどしていた。
私は用事も終わったので、ぺこりと頭を下げ、帰路に着いた。