［完］黒死牟邸に居候してます (ページ36)

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鬼狩りと遭遇した夜 ② ページ36

「怖い怖い怖い、こんな夜中に歩いてるから幽霊か何かかと思ったら鬼に襲われ始めるし叫んで逃げ出すしほんと勘弁してほしい！！！
怪我してない！？なんかやられてたように見えたけどなんともなさそうだね！？
雑魚だったから俺でもなんとかなったけど、あともうちょっとでも鬼が強かったらどうにもならなくてみんな死んでたからね！？！？嫌でしょ！？こんな見知らぬ赤の他人と夫婦みたいに並べて埋葬されちゃうよ！？！？あっ、いっそ夫婦になる！？よく見たらすごいかわいい！！！夜顔の君って呼んでいい！？なんか目、赤いけど泣いてる！？」

たんぽぽは一息に喋る。肺のでかいやつだ。
大丈夫です！と元気に返事をして、私はまた走り出した。

「なんで逃げるの～。」

鬼狩りはニコニコしながら追ってくる。こいつ間抜けな顔して私が鬼だって勘付いているのでは！？
角を曲がったところで、ドンと大きな体にぶつかった。

『すみま……ゲーッ！』

なんなんだよ、ここは鬼の巣窟か？見るからに愚鈍そうな鬼が、私に気づいて襲いかかってくる。
チッ、雑魚鬼め。
しかもタイミング悪く、腹がぞわぞわし始めた。ほんのわずか舐めただけなのに……。
私は、ええいままよ、と目の前の鬼に飛び込んだ。

「ええええ！！！！」

大急ぎで啜り、その鬼を脱ぐと、ちょうど鬼がずどんと倒れて灰になり始めたとき、鬼狩りにそれを目撃された。

「きききき君、いま、この鬼を殺したね！？！？鬼殺隊なのかな！？！？僕と一緒に行かない！？！？ていうかやっぱり結婚しない！？！？強い女の子、好きかも！！！」

私はほとんど泣きながら逃げ出す。
だってこの人、ふつうにすごい気持ち悪い！
雑魚鬼一匹じゃ到底足りないからしだいにまた透明になり始めるし、鬼狩りは追ってくるし、なんで夜だ。
それに今夜は満月、うかうかして完全に透明になったらそこでデッドだ。