白が滲む【呪術廻戦】 (ページ9)

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思い出話ページ9

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『やってくれましたね七海殿』

「すいませんね、つい」

それはどういう意味の謝罪なのかな？あ？

こいつマジで〆てやろうかななんて考えながら壁に寄りかかる

報告書やらなんやら事務作業していた合間に勝手に休憩しながら七海に絡みにいく

『タバコ休憩いこー』

「吸わんくせになにいってんの」

右手の指２本立ててタバコ吸うジェスチャーをしてみれば、呆れたように笑う七海

そのくせちゃんと立ち上がって外に出ていくんだから素直な奴

『聞いた～？宿儺くんの話』

「聞きましたよ、宿儺くんというか虎杖君だけど」

へー虎杖ってまた珍しい名前だねとか言いながら外の喫煙所に向かう

正面にグラウンドが見える、なんだかんだいいスポットなのである

だからこうやってタバコは吸わないけど、たまにここに休憩しに来たりする

「懐かしいですね、」

誰もいない静かなグラウンドに向かってのびをしていたら、七海がそう呟く

『高校生って若いよな～』

「よくここで体術訓練しましたね」

『だいたい七海ボコられてたじゃん』

「嘘、アナタには負けたことない」

あの時よりちょっと高くなった七海の視線と、大きくなった肩幅を横目に見ながら時の流れを感じていた

だいたい私は速攻で体力が尽きてその辺に転がってたな

うずくまりながら七海と灰原の稽古を見ていたんだっけ

『たまに五条さんたちが乱入してきたよね』

「で途中で夏油さんと五条さんがガチ喧嘩はじめたり」

『そうそう、で何故か私たちまで先生に怒られたりね』

「あの二人の喧嘩を止めてたらとっくに死んでましたね」

確かにーって笑いながら昔のことを思い出して懐かしくなる

横にいる七海の口角も上がっていてなんだか楽しそう

「山門」

急に真面目なトーンで名前を呼ばれ、驚いて七海の方を向く

「生きていてくれて、ありがとう」

『…うん』

「呪術師でも呪詛師でも一般人でも、なんでもいい。ただ生きていてくれたらそれで」

グラウンドの方に顔を向けたままどこ見てるか分からないレンズの奥を眺めてみる

胸が温かくなった気がした

後悔や痛みがなくならないとしても、この瞬間、今だけは生きていてよかったってそう思えた

『てへ、七海に愛の告白されちゃっ…痛っ！』

わざとらしくおどけてみれば、七海の大きな手が私の後頭部をべしっと叩いた