【ツイステ】オーバーキル (ページ26)

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第２５話ページ26

Aの退学まで、猶予の残り2日

VIPルーにてソファに腰を下ろして各々が作業をしていた。テーブルには記録した用紙が山ほどあって、それを目を通していた。丸一日をかけて全生徒から聞き込みをした。あの日あの時間あの場所で何があったのか自分達の知らない間にAに何が起きたのか。

だが聞けば聞くほどAが一方的に彼らを暴力を振るっていたという証言しかなかった。みな気づいたらあの状態になっていたと言っていた。何一つ得られる情報はなかった。

「アズール、Aが退学と言われた日から一睡もしていないでしょう。僕達が変わりますので少しでもいいから休んでください」

「そーだよ、仮眠くらい取ってきな。そんなんじゃ頭回らないでしょ」

「眠れるわけないでしょう…今は目を閉じるのでさへ恐怖なんです…」

３人は目の下に酷いクマを作っていた。アズールはあの日以来、目を閉じることすら恐怖を抱いて眠れない。目を閉じて開けたらもうそこにはAはいなくなっているんじゃないかと、錯覚してしまいそうになる。

アズールほどではないが、ジェイドもフロイドもほとんど寝ていなかった。寝すぎると悪夢を見てしまいそうで睡眠は1時間以内に切り上げた。

退学を宣告されてからAは部屋に閉じこもってしまった。この学園を去る準備を出来ているだろう。Aは自分達と離れても何とも思わないのだろうか。

「小エビちゃんが言うにはオレらの態度が悪かったからAも素っ気なかったんでしょ…なのになんで今になってAがこんな態度とるわけ？」

「僕らに言えない理由ということでしょうか？」

フロイドの言葉にアズールが拾う。アズールは口元を手を持ってきて考える素振りをする。今まで冷たい態度をとってきて自分らには何も仕返しはされてない。Aも彼女と少し似ている部分があったのだ。他人のために犠牲になるということ。イソギンチャクになったあの１年生を庇ったり、自分になんの得もないのに。

「普段温厚なAがあそこまで事を荒らげるなんて、相手は天才だったのかもしれません。僕達が何をしても無関心だったのに」

「つまりAの関心のあるものに触れて、なんらかの理由で争いが起きた…ということになりますね」

ジェイドとアズールが話し合っている間に入り込んでフロイドが「もう朝になったんだけど…」と言うと３人は窓の外を見る。天気を恨みたくなるほど晴天だった。