【ツイステ】オーバーキル (ページ18)

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第１７話ページ18

きっと監督生ならあの1年生の彼らだったら分かっていた。Aが何が好きで嫌いかくらい分かるはずなのに、そんな簡単なことすら彼らは知らないほど、Aと会話をしたことがなかった。

「きのこなんてまじーもんね！」

「ストレートに不味いなんて言われると少々可哀想に見えてきました」

「病人の前で煩いです！Aは無理して食べないでください…！」

ジェイドはAから皿を取り上げようとしたが「全部食べる…」と言って皿を平らげた。熱のせいで味覚はしないが、なんとも言えぬあの触感がAは好まなかった。

「A、この指何本に見えますか？」

アズールはAの顔の前に手を出して3本の指を立てる。Aはじっーとその手を眺めてゆっくりと口を開いた。

「じゅっぽん」

「相当頭がやられてますね」

「熱でこんな変わんの？なんか取り憑かれてね？」

「魔法よりも恐ろしいものですね。人はこんな物を頻度にかかるんですか？」

いつも目を合わせればすぐに逸らすAが視線を合わせて見つめ返してくれたり、笑顔を貼り付けた顔をこちらに向けないAに驚いてた。

フロイドがベッドに腰をかけてAに薬を渡した。薬の成分で眠くなってきたのかうとうとし始めた。邪魔にならないように、Aの部屋を退室しようとフロイドは立ち上がると裾を引っ張られる。

「ありがとう…」

「「「！」」」

熱のせいでぎこちない笑みだったが、いつも向けられる作られた笑みではなかった。胸の奥が締め付けられるように痛くて、3人は服の胸の所を強く握りしめる。いつものような不快感を感じなかった。むしろその痛みは何故か心地よく感じていたのだ。

そしてこの後、3人は監督生の元へ行った。

「なんで熱を出す方法を知りたいんですか？」

長身の男に見下ろされる監督生は内心はビクビクしながらハッキリと受け答えをする。

監督生の返答に3人は何故か歯切れの悪い言い方をする。何か企んでいるんだなと思うと同時に教えたら危ない気がした監督生は頑なに口を開かなかった。

「熱出たA、ウケたんだけどな～」

「とても滑稽でしたね」

「ええ、いい見物でしたね」

Aのことになると途端に馬鹿になる3人は、言葉足らずのせいで監督生は「私がいない間に残忍なことされた…？」と誤解をしてAに転寮を勧めてみようと決意した。