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「……って感じだったよ。彼女欲しいみたいだし、1回告白してみるのも一つの手かもね!」
「なるほどなるほど。この短期間でここまで聞き出せるなんてやるじゃん、A」
「わーい硝子に褒められた!」
放課後の空いている時間に、Aは早速昨日の出来事と、五条から聞き出した内容を硝子へ伝えた。Aが五条と親交を深めるようになって数週間、思っていたよりも2人の距離が縮まっていることに、正直硝子は驚いていた。硝子に褒められるためだけにここまで行動しているAを見て、硝子は嬉しく思いつつもほんの少し五条に同情してしまった。
「それにしても、よく笑って誰にでも平等に優しい子ねえ……」
「うんうん。確かそんなこと言ってたような。
でもそんな子そこら中にいそうだし、抽象的な回答すぎるよね」
「んー、どうかな」
(私からすると、ただAの特徴を挙げただけって感じだけど)
恐らく夏油がこの特徴を聞いたとしても、思い浮かべる人間はただ1人だろうと、硝子は考える。もちろん、当の本人には一切伝わらない。
放課後の教室は、Aと硝子の2人のみ。教卓付近に設置された時計の針の動く音だけが、カチカチと聞こえる。そんな中、Aは机にもたれ掛かりながら硝子を横目に口を開いた。
「ってことで、五条君調査はこの辺で大丈夫かな?あとは硝子が動くのみだね!」
「いや、足りん。こんなんじゃまだまだ足りない」
「えぇ!?」
もう五条と2人で出かけたり、メールをしたりといったことは止めようと思っていた手前、Aは情けない声をあげる。硝子から返ってきた言葉は、調査の継続願いであった。
「夏油よりも仲良くなって、五条にとっての最強の相談相手になろう。そうすればもっといろんな話が聞けるよね」
「さすがに夏油君越すのは厳しいかな……」
「いやいける。数週間で五条とここまで仲良くなれたんだから」
有無を言わせぬ態度。硝子の圧が強く、Aはもはや肯定の言葉しか口に出さないようになってしまっていた。五条と夏油の絆の強さは、Aもよく分かっている。それを越すのは、相当な時間と労力が必要になるに違いなかった。しかし、この状況で無理とも言えず。
硝子は時計を見上げ、時間を確認した後制服のポケットにタバコの箱を入れて、ドアの方へと歩を進める。
「ってことでタバコ吸ってくるわ。これからもよろしくね、A」
「はい……」
トホホ、と苦笑いを浮かべながらも、心のどこかでは五条とまだ関わることができると、Aは少し喜んでしまうのであった。
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叶華(プロフ) - 更新ありがとうございます。とてもとても嬉しいです。これからも応援しております (2023年4月29日 2時) (レス) @page28 id: 2f3b00e51a (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2022年7月5日 14時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - めちゃくちゃ面白いのにここで終わりなんですね(T^T)続きが気になります!!またの更新楽しみにしています (2022年6月10日 13時) (レス) id: d0808ae4c9 (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - めちゃくちゃ面白いのにここで終わりなんですね(T^T)続きが気になります!!またの更新楽しみにしています (2022年6月10日 13時) (レス) id: d0808ae4c9 (このIDを非表示/違反報告)
しぐれ - 面白いですね!!! (2021年7月16日 21時) (レス) id: 165d0fbcd6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぐー | 作成日時:2021年5月18日 1時