26 ページ26
.
「その言い方は彼女がほしいってことだね!いやあ、五条くんにもこんな一面があったとは……」
「は?そうは言ってねえだろ勝手に想像してんじゃねえ頭湧いてんのかお前」
「動揺しすぎて早口になってるよ」
あまりに分かりやすい反応で、Aはくすりと小さく笑った。前まで恐ろしくて目も合わせたくなかったくらいだったのに、よくよく話すとこうも人間らしさで溢れていたらしい。Aは、五条を見かけで判断していたことを反省した。
食べ終えた皿をAが端へ寄せると、通りかかった店員が皿を片付けていく。店員の方へ目を向けて”ありがとうございます”と小さく口にしたAは、その後すぐに五条へ小さく笑いかける。それは眉を八の字にして、少し困ったような笑みだった。
「五条くんは素敵な人だから、(硝子がもたもたしていると)すぐに彼女ができちゃうだろうね」
「…………は、何だよその言い方……。俺にできたら嫌なワケ?」
「んー。……まあ、そうだね」
硝子が悲しんじゃうからね、とAは心の中で続けた。それは、親友の悲しむ顔は見たくないという本心だった。
その思いが顔に出てしまい、Aは悲しそうな儚い表情を浮かべてしまった。これでは五条が勘違いするのも仕方のないことである。彼は、自分が彼女をつくるとAが悲しむのだと、運悪くそう捉えてしまった。ごほん、とわざとらしい咳払いをした後、緩む頬を隠しながら口を動かした。
「べ、別に俺は……」
「でも彼女ができたとしてもうまく言っておくから大丈夫!こっちは心配しないで!」
…と、まあそんなわけもなく。思春期男子の淡い期待は、一瞬にして粉々に砕かれた。これで何回目かは分からないが、毎度毎度自意識過剰になってしまうところが、五条の良いところでも悪いところでもあった。
1465人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
叶華(プロフ) - 更新ありがとうございます。とてもとても嬉しいです。これからも応援しております (2023年4月29日 2時) (レス) @page28 id: 2f3b00e51a (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - 初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張って下さい。応援してます。 (2022年7月5日 14時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - めちゃくちゃ面白いのにここで終わりなんですね(T^T)続きが気になります!!またの更新楽しみにしています (2022年6月10日 13時) (レス) id: d0808ae4c9 (このIDを非表示/違反報告)
chi(プロフ) - めちゃくちゃ面白いのにここで終わりなんですね(T^T)続きが気になります!!またの更新楽しみにしています (2022年6月10日 13時) (レス) id: d0808ae4c9 (このIDを非表示/違反報告)
しぐれ - 面白いですね!!! (2021年7月16日 21時) (レス) id: 165d0fbcd6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぐー | 作成日時:2021年5月18日 1時